◆自然とアグレッシブな走りになる
もっとアグレッシブに身体を動かして、もっとアクセルを大きく開けてみたくなる。『CBR400Rフォア』に乗っていると、そんな気持ちが自然と湧いてくる。
【詳細画像】ホンダ CBR400R FOUR E-Clutch
ワインディングへ入れば、コーナー手前でブレーキをいつもよりハードに使い、身体をイン側へ動かし、フロントタイヤへ荷重を乗せる。そして、もう少しだけ車体を寝かせてみたくなる。
立ち上がりでは、400cc直列4気筒の回転を引っ張り、もっと早くアクセルを開けたくなる。ライダーの操作に対して、車体もエンジンもリニアに応えてくれるからこそ、こちらも自然とアグレッシブな走りをしたくなるのだ。
◆2気筒エンジンのCBR400Rより8kgも軽い
ホンダ CBR400R FOUR E-Clutch
その軽快さを支えているのが、187kgという車体重量だ。2気筒エンジンを搭載するCBR400R(NC65)は195kgだから、CBR400Rフォアのほうがナント8kgも軽いから驚く。
搭載するのは58psを発揮する400cc直列4気筒エンジン。1万1500rpmまで気持ちよく回り、上へ行くほどパワーが盛り上がっていく。軽い車体に、回して楽しい直4。この組み合わせだけでも、走りへの期待は大きく膨らむ。
『CB400スーパーフォア』の新型が大きな話題となり、いま400cc直4への注目が一気に高まっている。そんなタイミングで登場したのが、その兄弟車となるCBR400Rフォア(正式名:CBR400R FOUR E-Clutch)だ。スーフォアとは異なるアプローチで、直4スポーツの面白さを引き出している。
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch(左)とCBR400R FOUR E-Clutch(右)メインフレームや前後17インチの足まわりなど、基本的な車体構成は新型CB400スーパーフォアと共通だが、シートレールを専用設計。シート前端とフューエルタンク後端の幅を大きく絞り込むことで、2気筒モデルにも劣らない良好な足着き性を実現している。
シート高はカタログ値では780mmで、CB400スーパーフォアと同一だが、実車に跨ってみると、こちらのほうが足を着きやすいことが実感できたことを報告しておく。
◆胸を高鳴らせる吸気音
ホンダ CBR400R FOUR E-Clutchライディングポジションは、セパレートハンドルによって明確にスポーティな方向へ振られている。
フロントタイヤへ荷重をかけやすく、車体への入力もしやすい。コーナーでは身体を使って向きを変え、立ち上がりでは直4を気持ちよく回していく。そんな一連の操作を存分に楽しめた。
そして、走りの気分をさらに盛り上げてくれるのが、カウルの内側から聞こえてくる吸気サウンドだ。
ホンダ CBR400R FOUR E-Clutchアクセルを開けて回転を上げていくと、排気音だけではなく、ツインラムエアダクトから取り込まれる吸気音まで耳にしっかりと届き、伸びやかな回転フィールとともに、直4をブン回している実感がいっそう強まっていく。
左右のヘッドライト下方に設けられたダクトから高密度の走行風をダイレクトに取り込むことで、吸気充填効率を高め、高速域ではよりシャープなエンジン回転上昇を引き出している。
その効果は、耳からも感じ取ることができた。回転を上げるほど吸気音が高まり、もっと右手を開けてみたくなる。このサウンドがまた心憎い!
◆気軽さとスポーツ性を両立
ホンダ CBR400R FOUR E-Clutchそんなスポーティな走りを身近なものにしてくれるのが、標準装備されたEクラッチ(Honda E-Clutch)だ。
発進や停止のたびにクラッチレバーを操作する必要がなく、信号待ちからのスタートも、渋滞路でのノロノロ運転も、左手の負担を大きく減らしてくれる。
ギヤチェンジもクラッチ操作なしでできるから、市街地走行や郊外を流すときはとてもイージーで気軽。もちろん、Eクラッチに任せっぱなしにする必要はない。ライダーがクラッチレバーを操作すれば、その瞬間にマニュアル操作へ切り替わる。
ホンダ CBR400R FOUR E-Clutchワインディングで積極的に走りたいときは、自分の感覚でクラッチをつなぎたい場面もある。そんなときだけレバーを握ればいい。低速コーナーの立ち上がりやUターンなど、半クラッチを使って細かく車体をコントロールしたい場面でも、クラッチレバーを介して自在に介入できる。
ラクをしたいときはEクラッチに任せ、操りたいときは自分で操作する。この自由度の高さこそ、Eクラッチの大きな魅力だ。
◆攻めすぎない洗練されたスタイル
ホンダ CBR400R FOUR E-Clutchフルカウルに覆われたボディは、鋭いエッジを強調するというより、複数の面を組み合わせることで立体的な表情を作り込んでいる。
フロントまわりはシャープでスポーティ。それでいて、全体としては過度に攻撃的ではない。タンクからシート、そしてリアカウルへとつながるラインも美しく、コンパクトな車体を伸びやかに見せている。
スーパースポーツのように戦闘的な雰囲気を前面に押し出すのではなく、街中にも自然に溶け込む親しみやすさを残している。それでいて、ひとたび走り出せばスポーツバイクらしい躍動感をしっかりと感じさせる。
直列4気筒エンジンを回す楽しさをしっかりと残しながら、軽量な車体、スポーティなライディングポジション、Eクラッチ、スロットルバイワイヤ(電子制御スロットル)によるライディングモードなど、現代のライダーがバイクを楽しむための要素を巧みに盛り込んでいる。
◆CB400スーパーフォアのカウル付きバージョンではない
ホンダ CBR400R FOUR E-Clutch実際に試乗してみると、CBR400Rフォアは単なるCB400スーパーフォアのカウル付きバージョンではないことがよくわかった。異なるスタイルで直4を回して走る楽しさを引き出した、もうひとつの400cc直4スポーツなのだ。
今、話題の中心はCB400スーパーフォアに集まっている。けれど、それは筆者をはじめとする、かつてのバイクブームを知るおじさん世代の感覚なのかもしれない。
若い世代や、急成長を続けるグローバル市場では、むしろこちらの存在感が高まっていくのではないか。
ホンダ CBR400R FOUR E-Clutch高速道路では余裕のある巡航を楽しめそうだし、ワインディングでは軽い車体とスポーティなライディングポジションを活かして、直4を思い切り回して走れる。さらにサーキットへ持ち込めば、その運動性能を存分に引き出して楽しめそうだ。
CB400スーパーフォアが主役。そう思うのは、少し早合点だった。実際に乗ってみて、もうひとつの400cc直4スポーツにも大きな可能性があることがよくわかった。
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
CBR400R FOUR E-Clutchと筆者(青木タカオ)。



