働かないAI ロボット? ルーデンスAIがペットロボット『INU』を発売

ルーデンスAIのペットロボット、INUとルーデンスAIの山本代表取締役CMO
ルーデンスAIのペットロボット、INUとルーデンスAIの山本代表取締役CMO全 11 枚

ルーデンスAIが開発したAIコンパニオンロボット『INU(イヌ)』のクラウドファンディングが、10月16日から始まる。クラウドファンディング型EC「Kibidango(きびだんご)」を通じて展開する。

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INUは、仕事や勉強をする人のデスクに置き、触れ合いを楽しむ小型のペット型ロボットだ。人の言葉は話さず、なでたり、揺らしたりすると、目の表情や鳴き声、体の動きで反応する。長時間の作業中には動きや音で合図し、休憩のきっかけをつくる。

10月14日に東京都渋谷区で開催された製品発表会では、ルーデンスAIの山本真里江代表取締役兼CMOが、INUの開発経緯や技術、製品コンセプトを説明した。

■「働かないAI」をめざした開発

ルーデンスAIがめざすのは、作業を代行するAIではなく、人と日常をともにするAIだ。山本CMOは「AIを使う道具から共に暮らす存在へ」という考え方を示し、人のウェルビーイングを支えるフィジカルAIコンパニオンロボットとしてINUを開発したと説明した。

開発のきっかけは、山本CMO自身の体験だった。子供の頃に見たアニメには、主人公のそばに絶対的な味方となる仲間がいた。大人になってパソコンに向かって仕事をする中で、疲れや孤独を感じたとき、自分にもそのような相棒がいたらよいと考えたという。

INUは、何かを命令して仕事をさせるロボットではない。人が話しかけなくても、そばにいて反応する存在として設計した。人がいなくなると省エネモードになり、ときには自分から眠るなど、生き物のような自由な振る舞いも特徴だ。

パソコンのそばに……パソコンのそばに……

■ユカイ工学のスケッチから誕生

INUのデザインには、『Qoobo(クーボ)』や『Mirumi(ミルミ)』などを開発した日本のロボティクス企業、ユカイ工学が協力した。ルーデンスAIは、INUとは別に家庭向けロボット『COCOMO(ココモ)』も開発している。そのデザインを検討する過程で、ユカイ工学のデザイナーが描いたスケッチがINU誕生のきっかけになった。

最初のスケッチができたのは2025年10月頃。そこから約2か月で試作機を製作し、2026年1月に米ラスベガスで開催された「CES 2026」に出展した。

その後も外観や動きを改良した。特に苦労したのは、体を覆う毛並みの開発だったという。山本CMOによると、大阪の船場センタービルなどで数多くの生地を探し、毛の長さや柔らかさ、尻尾との組み合わせを繰り返し検討した。最終的には、猫の毛並みに近い触り心地を採用した。

INUという名前は、開発時のコードネームがそのまま製品名になったものだ。犬という名前ながら猫のような毛並みを持ち、目は1つという独特のデザインに仕上がった。

大きさはこれぐらい大きさはこれぐらい

■ミリ波レーダーで人の気配を検知

INUには、独自開発の「Klara OS」と長期記憶システムを搭載する。持ち主の習慣や生活リズムを学習し、一緒に過ごす時間や接し方によって、表情や動き、鳴き声が変化する。頭部と体の側面にタッチセンサーを備え、なで方などを検知する。倒されると起き上がろうとする動作を見せるなど、状況に応じて反応する。

特徴的なのは、カメラを搭載していないことだ。代わりにミリ波レーダーを使い、人が近づいたことや周囲にいることを検知する。山本CMOは、パソコンで仕事をする人のそばに置く製品だからこそ、カメラを搭載しない設計にしたと説明した。音声も録音しない。

基本的なAI処理は本体内で実行し、インターネットに接続しなくても表情や動き、触れ合いを楽しめる。専用アプリと連携する絵日記機能など、一部の機能ではWi-Fi接続を使用する。

また、音を録音するのではなく、音のリズムを認識する機能も開発中だ。話しかけられたことを検知したり、音楽のビートに合わせて踊ったりする機能を追加する計画だという。

猫耳はオプション猫耳はオプション

■専用アプリや着せ替えにも対応

INUの大きさは7×7×20cm、重量は約500g。2つの表情ディスプレイと4自由度の動作機構を備える。電源はUSB-C充電方式で、1回の充電で最大4時間稼働する。

iOSとAndroid向けの専用アプリも公開予定だ。アプリではINUに名前を付けたり、目の色を変えたりできる。一緒に過ごす時間や達成項目に応じて、新しい動きや着せ替えアイテムを獲得する仕組みも用意する。本体に服やアクセサリーを取り付ける着せ替えにも対応する。ネクタイや小型のバッグなど、外観を変えるアイテムの展開も計画している。

製品には独自の物語も設定した。INUは、働きすぎの人々が暮らす架空の「ワーカホリック星」から地球にやって来た存在で、地球の人々の働きすぎを止めることを使命としているという。

CES 2026CES 2026

■CESで海外メディアの注目、国内クラファンへ

ルーデンスAIは、東京を拠点に香港や中国・深圳でも開発を進めるスタートアップ企業だ。創業者兼開発責任者のロイ・シュエ氏は、米カーネギーメロン大学で学び、テスラやDJIで製品開発に携わった経験を持つ。同社グループは2026年4月、エンジェルラウンドで総額約6億円の資金調達を発表した。調達資金は研究開発や人材採用、国内外のパートナーとの事業開発に充てる。

2026年1月のCESでは、INUと家庭向けモデルのCOCOMOを公開した。山本CMOによると、INUは15か国以上、約200社の海外メディアに取り上げられたという。作業を代行しない「働かないAI」というコンセプトにも関心が集まった。

国内では10月16日から、きびだんごが運営するクラウドファンディング型EC「Kibidango」でプロジェクトを開始する。製品の購入者への発送は2027年2月頃を予定しているという。

ルーデンスAIは、仕事を効率化するAIとは異なる、人と触れ合いながら日常をともにするロボットの普及をめざす。

《高木啓》

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