この全文PDFは、記者会見やイベント講演の取材音声をもとに文字起こしを行い、編集者が確認と修正を入れたドキュメントです。
エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは10月21日、ドイツで開催した「GTCベルリン2026」で基調講演し、自動運転基盤「Hyperion(ハイペリオン)」に対応する車両の拡大を発表した。ボルボ・カーズ、メルセデスベンツ、ジャガー・ランドローバー(JLR)、フォルクスワーゲン商用車という欧州4ブランドの車両が加わり、メーカーの枠を超えたロボタクシーのネットワーク構築をめざす。
フアンCEOが示したのは、車載コンピューターとセンサーの構成を共通化し、自動運転ソフトウェアや配車サービスを組み合わせる構想だ。自動運転システムの開発には大きな費用がかかるため、共通基盤を通じて、自動車メーカー、ソフトウェア企業、配車事業者の連携を広げる。
講演では、ハイペリオンの標準構成として、カメラ14台、レーダー9基、ライダー3基、超音波センサー群を紹介した。これらをデュアルGPUの車載コンピューティングシステムで処理する。フアンCEOは、共通基盤を採用する車両を配車サービスにつなぎ、巨大な「仮想フリート」を形成する考えを示した。
ボルボ・カーズは、ハイペリオンと自動運転ソフトウェア「Alpamayo Stack(アルパマヨ・スタック)」を採用する。同社の車両安全技術に、エヌビディアの安全基盤を組み合わせ、複雑な実環境を安全に走行できる将来の車両開発につなげる。
配車サービスのボルトは、ハイペリオンを搭載する将来のルーシッド車を起点に、欧州向けロボタクシー計画を進める。メルセデス・ベンツはレベル3・レベル4の開発で協業を拡大する。フォルクスワーゲン商用車は自動運転車両『ID. Buzz AD』、アインライドは自動運転貨物トラックへの活用を示した。各社の取り組みは開発や将来の導入に向けたもので、今回の発表が一斉の商用運行開始を意味するものではない。

フアンCEOは、自動運転を、現実世界を認識して判断・行動する「フィジカルAI」の主要な用途に位置付けた。その開発には、AIを学習させるコンピューター、仮想空間で技能を学ばせるコンピューター、車両やロボットに搭載するコンピューターの3つが必要だと説明した。
仮想空間では、現実の設備や環境を再現するデジタルツインを使う。エヌビディアの「Omniverse(オムニバース)」を通じて学習・検証し、その成果を実際の車両へ移す。ハイペリオンは、このうち車載側を担い、コンピューターに加えて機能安全、予防安全、安全性を支える基本ソフトを統合する。
講演では、車両開発や製造へのAI活用も紹介した。シーメンスは工場のデジタルツインで生産計画を検証し、ダッソー・システムズはAIエージェントがシミュレーションを使って車両設計の問題を見つけ、設計を改善する例を示した。自動運転車そのものに加え、設計・生産工程にもAIを広げる方針が示された。
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