ホンダの軽EV『N-ONE e:』をベースにしたコンパクトEV『スーパーワン』が話題だ。往年の『シティターボII』をオマージュしたエクステリアデザインだけでなく、そのインテリアにも“日常が刺激的に楽しくなる、気持ち昂る”をキーワードに、ワクワクさせる要素が盛り込まれたという。
◆CMFで“刺激”表現、辛口ハイコントラストコーデ
本田技術研究所デザインセンターオートモービルセンターデザイン室プロダクトデザインスタジオデザイナーの森下秀一さんは、シティターボII時代のホンダのデザインについて、「割とシャキッとした線の使い方をしていました」というが、それをそのままオーマジュしても「このクルマらしさは出ない」。それだけでは気持ち昂るというデザインテーマに合致しないからだ。
そこで少し視点を変えた。当時は黒いインテリアが当たり前だったことへの反動からか、デニムなどが徐々に流行り始めた時期でもあったことから青やネイビーのファンデーションがドアライニングやインストルメントパネルの樹脂色にあしらわれていたことに着目。またシートも、「見たことのないような色合わせとともに、骨格がヘッドレストとシートバックが一体型になっている構成でした」。そこで、細部よりもその当時の世界観や立体構成をオマージュすることを心がけたのだという。

細部についてオートモービルデザイン開発室プロダクトデザインスタジオデザイナーの中島英一さんは、「シートの部分も含めて“辛口ハイコントラストコーデ”というテーマでCMFをデザインした」という。特にシートのコーディネーションは、「初めて見るとすごいっ!と刺激を受けるくらい特徴的で、それも当時のシティターボIIのオマージュです」という。
シート骨格もシティターボIIはセミバケットで背の高いもので、サイトサポートもしっかりと張り出してたことを踏襲しながらスーパーワンでは、カップルディスタンスが広く見えるよう、左右非対称のカラー使いカラーコーディネートした。これにより「当時の元気な世界観を表現しました」と中島さん。新色のブーストバイオレットパールというボディカラーとともに、内外全体で当時の楽しい世界観を演出した。
インパネ全体のレイアウトも、エアコンの吹き出し口のついたパネルが上にあり、下にトレイを感じさせる二段の骨格を採用。そのうえで森下さんは、「線の質もシャキッとさせました。色味を全部ネイビーにしてしまうと、いまの若者からダサいとリジェクトされてしまうので、センスよくモダンに、アクセントのように取り入れることを考えながらオマージュしています」と説明した。
◆2世代が楽しめる演出


スーパーワンのターゲットユーザーは、まさにシティターボII現役時代の男性ユーザーとその息子だ。そこでメーターもブーストモードにすると2つのデザインを見ることができる。ひとつは紫の画面に切り替わり、3連メーターが映し出される。これは疑似的なrpm表示などで、「50代のお父さん世代が昔、峠道を走るクルマに自分で後付けのブースト計などを付けて楽しんでいた思い出を表現しています」と中島さん。同時に「一周まわって息子さん世代も、新しい、すごく楽しいと思ってもらえるでしょう」という。
もうひとつは「息子さん世代にとってはとっつきやすい新しい体験として、クルマのリアビューを中心にワープしているようなタイプも用意して、世代問わず楽しめるよう思いを込めました」と中島さん。
なぜワープ表現か。中島さんは、「例えばゲームでもゲームボーイをあえて今遊ぶのが楽しいとか、音楽でもストリーミングサービスが主流にもかかわらず、あえてカセットテープやレコードが楽しいよねというレトロブームが大学生など若い世代に見受けられました。そこでそもそもワープなどは懐かしいという親世代と、面白いねと知り始めた世代が繋がった感じがしたので自信を持って進めました」と説明した。
◆N-ONE e:との同時開発だからできた差別化

ベースとなるN-ONE e:との差別化はどのようにおこなったのか。中島さんは、「『N-ONE e:』と同時開発を生かしながら、テーマを明確に分けて推進しました」という。



