フィアットは、パリモーターショー2026において、コンセプトカー『マルチプレイ』(Multiplay)を世界初公開した。
フィアット『マルチプレイ』
全長4.45mのボディに、MPVの空間効率、SUVのキャラクター、ピックアップの多用途性を組み合わせた意欲作だ。
このコンセプトは、ステランティスのカンパニー・ストラテジック・アドバイザーであるオリビエ・フランソワ氏と、フィアット・アバルト・ランチアブランドのCEO兼ヨーロッパ担当チーフマーケティングオフィサーのアルノー・ベローニ氏が国際メディアに向けて発表した。
■Cピラー「メタモルフォージ」が生む変形機構
フィアット『マルチプレイ』マルチプレイの核心は、Cピラー「メタモルフォージ(Metamorfosi)」と呼ばれるアーキテクチャーにある。
リアモジュールが前後方向にスライドすることで、6+1シートの密閉型ファミリー仕様から、オープンベッドを備えた4シートのピックアップ仕様へと、わずかな操作で変形できる。
ファミリー仕様では6席に加え、「ペットセンジャーシート(Petsenger seat)」と呼ばれる多目的シートを備える。チャイルドシートの取り付け台座、ペット用スペース、小テーブル、収納コンパートメントなど複数の用途に対応する。
ピックアップ仕様では4席と荷台を組み合わせ、自転車やスポーツ・アウトドア用品、大型荷物の積載が可能になる。
リアスポイラーも同じ発想に基づき、回転させることで最大2台の自転車を積めるバイクラックに変わる。空力部品と実用部品を1つのコンポーネントで兼ねる設計だ。
■「ムルティプラ」の精神を受け継ぐ
マルチプレイは、フィアットが過去に手がけた2つのモデルの遺産を継承している。
1956年のフィアット『600ムルティプラ』は全長約3.5mに6人を乗せ、1998年の『ムルティプラ』は全長4m以下で2列6席を実現した。マルチプレイはこの空間探求の系譜を、用途に応じて変形できるアーキテクチャーで引き継ぐ。
■キャビンの工夫と素材へのこだわり
フィアット『マルチプレイ』フロント助手席は「サンシート(Sunseat)」と呼ばれるラウンジスタイルに変形し、駐車中にパノラミックルーフの下でくつろぐ空間を生み出す。
カラーデザインはスイカをモチーフにしたイタリアの夏をイメージ。外装の鮮やかなグリーンが果皮を、キャビンの赤やピンクが果肉を表現する。
素材はモノマテリアルのテキスタイルを中心に採用し、縫い目のない3Dニット製法で廃棄物を削減している。
ダッシュボードに組み込まれたディスプレイは、車両オフ時には視界から消える設計で、デジタル機能をインテリアデザインに自然に溶け込ませている。
フィアットは、マルチプレイは特定の量産モデルの先行公開ではなく、将来のモビリティに向けたソリューションの実験台と位置づけている。




