ハンドツールメーカーの京都機械工具(KTC)がホイールナットの締め付けトルクやタイヤ溝の測定データを自動記録する作業支援アプリ「e-整備TIRE」のサービスを2026年10月から開始した。作業者や管理者、ユーザーにメリットをもたらす「e-整備TIRE」の機能について紹介していく。
スマホやタブレットにインストールして利用する作業支援・管理アプリである「e-整備TIRE」は車両整備の現場で、整備記録を残す負担を減らし、作業ミスの防止を支援する仕組みとしてリリースされた。作業者の負担を減らして効率を高め、管理者が作業内容を把握しやすくする。ユーザーに記録を示せる新しいサービスとして注目したい。
締付トルクの設定からナット1本ごとの記録まで、自動化で減らす現場の手間
KTC『e-整備TIRE』
「e-整備TIRE」はネーミングの通りタイヤ関連の整備であるホイールナット締結およびタイヤ溝残量の確認・記録をサポートする。
スマホやタブレット(iPhone17e/iPad、iOS26に対応)に「e-整備TIRE」をインストールする。対応するデバイス(12.7sq.トルクル、タイヤデプスゲージ)とBluetoothで無線接続すると、計測値が自動で記録され、クラウドにも保存される。測定結果を記録・転記する手間や、記入漏れ・転記ミスを減らせることが、現場にとって大きなメリットになる。
KTC『e-整備TIRE』「e-整備TIRE」で管理・記録できる整備内容は主に2つで、ホイールナットの締め付け記録とタイヤ溝残量記録だ。
ホイールナットの締結作業を行う場合、最初に作業するクルマのナンバープレートを撮影*する。するとデータベースから車両に合った目標トルク値が自動で取得され、車両ごとの入力や工具の設定変更を省けるのが便利だ。*未登録でナンバープレートを備えない車両は、コーションプレートからの取得かアプリに手動で入力することで、車両データの取得に対応する
KTC『e-整備TIRE』近年は車両や年式によって規定の締め付けトルクが異なる場合もあり、車両ごとに目標トルクが設定されるのは作業者にとって間違いの防止やスピーディな作業につながる大きなメリットだ(作業時には必ずサービスマニュアルに記載されている締め付けトルク値を確認すること)。
KTC『e-整備TIRE』データベースは2000年以降に発売された国産車、輸入車などの主要なモデルを幅広くカバーし、軽自動車、普通車、小型・普通貨物といった現在日本国内で走行しているメジャーな車両の多くはデータ化されている(中型・大型貨物車には、2027年以降に順次対応を予定)。このサービスを利用すれば作業者の思い込みによる締め付けトルクの設定間違いを減らせるため、オーバートルクなどの締め付けミスが発生しにくい環境が作れるのが魅力だ。
KTC『e-整備TIRE』実際のホイールナットの締め付け作業では「e-整備TIRE」とBluetoothで無線接続した12.7sq.トルクル(GNA200-04)を使ってトルクの測定を行う。作業中、締め付けトルクの状態をレベルバーと音で確認でき、目標トルクに対する締め付け状態が視覚的にもわかりやすくなっている(初期設定では目標トルク値の+10%までが許容範囲として設定されているが変更することも可能)。
各ホイールナットごとの測定データは自動的に記録される。どこまで締め付けたかを画面で確認できるため、作業中断後も進捗を把握しやすく、締め忘れの防止につながる。実際に締め付けたトルク値の記録漏れを減らせることも、このシステムのメリットとなっている。
KTC『e-整備TIRE』従来型の機械式トルクレンチを使った場合、熟練者と経験の浅い作業者では締め付け作業で微妙なトルク値の違いが生まれることもあるが、このシステムであれば画面で目標値を確認しながら作業でき、ばらつきを抑えやすくなるのも長所だ。
このように「e-整備TIRE」を利用することで作業者の勘違いや思い込みによるトルク値の設定ミスや、作業中断後に再開した際の締め付け忘れなどを、システムで防ぎやすくなる。ホイールナットの締め付け作業を記録とともに管理しやすくなる点は、事業者にとっても重要だ。
交換提案に根拠を作業の説明に裏付けを、記録を残す価値がここにある
KTC『e-整備TIRE』「e-整備TIRE」におけるもうひとつの機能はタイヤ溝残量の記録だ。こちらはその名の通りタイヤの溝を「タイヤデプスゲージ」(対応製品:GNDA020、GNDA020A)を用いて測定する。
KTC『e-整備TIRE』ホイールナットの締め付け時と同じく作業する車両のナンバープレートを撮影すると該当車両への記録が可能となり、各タイヤの残溝を測定することで、残溝の状態が記録されるというもの。
データ表示のイラストには「グリーン:良好」「オレンジ:交換を検討」「レッド:今すぐ交換」の色分け表示もなされ、タイヤ残溝の状態が一目でわかる。
この良好~今すぐ交換までのしきい値は作業者側で設定でき、交換の目安を事業所ごとに定めるなどの運用も可能だ(どの程度交換のマージンを取るかが設定できる)。数値と画面を示しながら説明できるので、ユーザーにタイヤ交換の時期を提案する際の裏付けにもなる。
加えて注目したい機能が作業記録の保管。作業した各データはクラウド上に保存されるのも「e-整備TIRE」の大きな特徴だ。
KTC『e-整備TIRE』作業データを残しておくことで各車両の作業内容が記録でき、いつでもどこからでも保管データにアクセスすることが可能になる。作業記録はPC、スマホ、タブレットのブラウザから閲覧でき、登録番号や作業者、日時、測定結果などが表示される。こうした記録は、作業者がしっかり作業したことの裏付けとなり、さらにユーザー側も実施した作業の内容を確認できるため、安心につながる。管理者・企業側は、問い合わせにも記録に基づいて説明でき、トラブル対応や作業確認の負担を抑えやすくなる。
このように整備記録を自動で残すことができる「e-整備TIRE」は作業者、ユーザー、企業のいずれにも大きなメリットのあるシステムと言える。
記録の負担を減らしミスを防ぎやすい現場へ、使い方に合わせて選べる導入の形
KTC『e-整備TIRE』「e-整備TIRE」を利用するには、初期設定費用30,000円(支払口座あたり)と、ライセンス登録料3,000円(1ライセンスあたり)が必要となる。月額費用は6,000円(1ライセンスあたり)だ。
KTC『e-整備TIRE』作業者ひとりひとりに1ライセンスを割り当てる方法や、店舗で1ライセンスを利用してコストを抑える方法など、利用する事業所やディーラーなどの規模や利用方法に合わせてライセンスが選べる設定となっている。ただし、複数の端末でログインすることはできない。
車輪の脱落事故がニュースなどで取り上げられることも多い近年、ホイールナットのトルク管理など、タイヤにまつわる整備の重要性があらためてクローズアップされている。そんな中、KTCの「e-整備TIRE」を利用することで作業ミスの防止と記録の負担軽減を図り、管理者も整備データを確認できるようになる。タイヤにまつわる整備の精度を高め、自動化による効率化を進めたい事業者にとって、「e-整備TIRE」の導入は魅力的な選択肢となるに違いないだろう。
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