キドニーグリルを見ればBMWと分かるように、自動車メーカーはひと目見て分かるようなデザインアイデンティティを重要視している。日産も『マーチ』や『プリメーラ』で、羽が左右2枚づつ付いているグリルデザインをやっているが、ル・マンの『R390』にまで付けているのに日本ではイマイチ浸透していない。
しかし今回発表された『エクストレイル』のグリルには次のグリルデザインを示唆する要素が取り入れられている。解説してくれたのは、エクストレイルのエクステリアを担当した豊田泰治シニアデザイナーである。
エクストレイルのフロントマスクはどことなく『セレナ』と似た共通の表情を持っているようには感じないだろうか? ヘッドライトが大きいということも挙げられるが、実はグリルの意匠が結構似ているのだ。 これについて「ひと目見て“日産”と分かるようなデザインは意識しています。ただ、このグリルがそのまま日産のグリルというわけではありません」と語る。
ではグリルにおける日産らしさとは何なのか? 「グリルの中央に日産のマークがあって、それを左右から取り囲んでいるという要素、それが大切なんです。今はそこまでしか言えません。もちろんエクストレイルのグリルもこの要素を取り入れています」
なぞなぞを解いているような解答だが、豊田シニアデザイナーはこうも言った。「1月のデトロイトショーを見ていて下さい。そこに出てくるクルマのグリルが新しい日産のアイデンティティです」 このショーカーのデザインも豊田氏が担当しているのだという。なぞなぞの答えは1月までおあずけである。
ちなみに欧州で販売される日産車に付けられた例のマーチのグリルや、パリサロンでエクストレイルが装着し、『サファリ』などにも付いている台形が3つ合わさったようなグリルも引き続き使用されるようだ。