【2001年3月期決算】株を上げた会社、下げた会社

自動車 ビジネス 株価

自動車メーカー11社の2001年3月期決算発表が終了。業績、株価ともに明暗を分ける動きとなった。今回の決算発表でもっとも注目を集めたのは、カルロス・ゴーン社長兼COO(最高執行責任者)のもと再建を進めてきた日産自動車だろう。

株価は業績回復を先取りする形で、「シーマ効果」などを材料にしながら800円台へと水準を切り上げたが、結果は期待通りの好決算。連結当期損益は、前期の6843億円の赤字から3311億円へと、およそ1兆円というV字型の業績回復を実現した。 

同じく勝ち組みとなったのがトヨタ自動車。11年ぶりに連結経常利益を更新し、さらに日本企業として過去最高の利益を上げた。もっとも株価の上値は重く、4000円台前半で推移している。企業間の株式持合いの解消売りが、株価が上昇するつど頭を抑えている格好だ。

また、同社の子会社化となった日野自動車は、一躍注目を集めた。前3月期は連結経常利益30億円、最終損益は133億円の赤字と見るべくもないが、今期は経常利益3.9倍増、最終損益は4期ぶりの黒字転換となる見込み。決算発表当日はトヨタ主導の再建期待から54円高と急伸した。

ホンダは今期予測が2ケタ増収増益。さらに8月からの売買単位引き下げ(1000株→100株)を発表した。すでに年初から株価が上昇していただけに、同社の収益拡大→収益アップの連想からケーヒン、ショーワなど系列部品メーカーが買われる一幕もみられた。

一方、市場で失望売りを誘ったのがスズキの決算だった。日産への軽自動車のOEM供給など材料には事欠かなかったが、肝心の業績が期待を裏切った。売上こそ2期連続で過去最高を更新したが、最終損益は前期比25%の大幅減。今期は2期ぶりの増益となる見込みだが、発表翌日の22日には129円安と記録的な下げを強いられた。

外資の傘下で建て直しを図るマツダ三菱自動車工業は、ともに過去最大の赤字を計上。日産に匹敵する合理化策を打ち出さない限り、業績、株価ともに低迷を余儀なくされそうだ。再建計画発表を材料に買われたいすゞ自動車も、一夜明けると計画の実現性が不安視され、下げに転じた。

富士重工業は、前期の減収減益から売上高、経常利益、最終益ですべて過去最高を更新する見込み。株価は800円台で堅調を保っている。ダイハツ工業は、前期の連結最終利益は3割増となったが、今期は減益予想。日産ディーゼル工業は業績不振から抜け出せず、日産と対照的に低迷を余儀なくされそうだ。

《山口邦夫》

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