『eKワゴン』はモノグレード展開ということで、用意されたエンジンも1種類。3気筒SOHCエンジンに、3ATの組み合わせのみとなった。
このエンジンは、『トッポBJ』に搭載している「3G83」からリーンバーン機構を外している。一見スペックダウンのように見えるが、乗用車開発本部・商品開発プロジェクトの篠倉崇主任は、「排出ガス軽減と、中速域のドライバビリティ向上のために通常のMPIヘッドにしました」と語る。
同じことがトランスミッションにも言える。軽用の4ATを持っているにもかかわらず、3ATのみの設定なのだ。このことについては、「軽のエンジンは排気量が少ないため、街中を走るような状況で、4ATではキックダウンが頻繁に起こり、決してドライバビリティがいいとは言えませんでした。しかし、トルクの豊かな3気筒エンジンと組み合わせれば、ワイドレシオの3ATの特徴を活かせると考えたのです」と胸を張る。「コストダウンの言い訳ではないのか」との意地悪な質問に対しても、「あくまでこのクルマに最適な組み合わせを選んだ結果」とのことだ。
ちなみにいまセールスの1、2位を争うホンダ『ライフ』も3気筒エンジンに3ATの組み合わせとなる。前出の篠倉氏は、「ライフは凄くいいクルマです。特に3ATが素晴らしい。しかしライフより後に出す以上、より良いものでなければ出せません」と自信たっぷりだ。