9月のテロ事件で、実行犯の何人かは入国管理の緩やかなカナダ経由でアメリカに入ったことが明らかにされている。そのためアメリカではメキシコ、カナダとの国境警備に力を入れているのだが、それが自動車メーカーに思わぬ打撃を与えている。
地理的に見て、デトロイトはカナダ国境に近い町。ビッグ3の部品工場もカナダのウィンザーに数多く建設されている。これまでアメリカ-カナダ間はほとんどフリーパス状態だったのだが、テロ事件後警戒が厳しくなり、部品の物流に影響を与えている、という。
テロ事件発生前まで、カナダのウィンザーとデトロイトの間では一日4700台以上のトラックが行き来していた。一日あたりの物流価格はなんと10億ドル以上。もしカナダからの部品がスケジュール通りに届かないと、自動車メーカーは1分間あたり2万5000ドルという巨額の損失をこうむることになる。
このためビッグ3首脳は政府と会談、ウィンザー/デトロイト間における国境警備と貨物チェックなどを緩めるよう要請している。しかし橋ひとつで結ばれているふたつの都市だけに、これがテロリストの入国を安易にする、という懸念もあり、デトロイトの願いは簡単には届かないようだ。