20代の若者をターゲットにした『アルト・ラパン』では、開発にあたって、スズキ初の試みがなされた。「アドバンスド・プランニング・アンド・デザイン」というセクションが設けられ、20代の若いスタッフが中心となって企画・開発を進めたのだという。
「アドバンスド・プランニング・アンド・デザインのスタッフには、具体的には、どういうクルマを作るべきか、という最初のコンセプト・メイキングの段階で活躍してもらいました。そうした上でその意見を、通常の先行開発のプロセスに組み合わせてクルマを開発していったわけです」と、スズキ株式会社デザイングループ・第二デザイングループ長の片岡祐司さんは説明する。
若いスタッフにクルマの開発を一任する例は、トヨタの『bB』などですでに見られるが、現実主義的なクルマづくりをしてきたスズキでもこうした開発を行うようになったとは、時代が変わったものである。じっさい『ラパン』の登場で、スズキのラインナップは軽自動車だけでも8車種となり、いわばトヨタ的に「より多様なニーズに対応する」メーカーへと変貌を遂げつつあるのだ。