「未必の故意による殺意は無かった」クルマの窃盗犯の殺人未遂を認めず

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駐車場に置いてあったクルマを盗もうとした際、盗難に気がついた所有者の男性が行く手を塞ぐ形で立ちはだかっていたのに減速せず、そのまま男性を引っ掛けた状態で走行し、全治2カ月の重傷を負わせた男に対し、神戸地裁は26日に行われた判決公判で窃盗容疑についての有罪は認めたものの、検察の求めていた殺人未遂の部分については「十分な犯罪証明がなされていない」として無罪を言い渡していたことが明らかになった。

この事件は2000年1月12日未明、明石市内の駐車場に置いてあったクルマを23歳(当時21歳)の男が盗もうとした際、前日にカギを何者かに盗まれたことで警戒していた所有者の男性に見つかったことが発端となった。所有者の男性はクルマにしがみついたが、盗もうとした男はそれに構わず発進。約8メートル走ったところで共犯の18歳少女を助手席に乗せるために一時停止し、この少女をクルマに乗せるとそのまま現場から走り去った。クルマにしがみついていた男性は一時的にクルマの下敷きとなり、頭などに全治2カ月の重傷を負った。

後にこの男は強盗致傷容疑で逮捕されるが、検察側は起訴の際に「被害者を巻き込んでいることを認識しながら、被告は殺意を持ってそのまま走行した」と、未必の故意による殺人未遂の容疑もあるとした。しかし、被告側は「所有者の男性がしがみついていたことを知ったのは助手席に乗せた少女が教えてくれたから。そのときにはすでに男性はクルマから離れた場所でうずくまっていたように思う」と供述。男性はクルマと離れた場所にいると認識しており、殺意は無かったことを主張していた。

判決で神戸地裁の杉森研二裁判長は、窃盗部分については「言い逃れの余地はない」として懲役2年の実刑判決を言い渡したが、殺人未遂部分については「被告が男性を巻き込んでいると認識していたことは確かだが、クルマを加速させた時点で男性はすでに転落していた可能性が否定できず、未必の故意による殺意があったとまでは認められない。検察が主張する殺意についても十分な犯罪の証明がなされていないと考える」と判断。この部分については無罪を言い渡した。

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《石田真一》

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