滋賀県は国松善次知事は8日に行われた定例会見で、琵琶湖の水質汚染を防ぐため、2ストロークエンジンを搭載した水上バイクの使用を来年夏以降禁止するという考えを示した。今年6月ごろ議会に条例案を提出し、冬までに制定する方向で検討するという。
琵琶湖では水上バイクを楽しむ人が多いが、現在までに二つの問題が生じている。ひとつは交通ルールの存在しない湖面上で水上バイクが関係する事故が急増していること。もうひとつは水上バイクが琵琶湖そのものを破壊しているということだ。
水上バイクの多くは搭載したエンジンでウォータージェットポンプを駆動し、水流を後方に排出することで推進力を得る。問題は炭化水素や窒素酸化物など有害物質が多量に含まれた排気ガスも一緒に水中へ放出することで、これが深刻な環境破壊を引き起こすと危惧されている。2ストロークタイプ、4ストロークタイプを問わず、この機構は全く変わらないが、2ストロークタイプのエンジンの場合、オイルに加えて燃焼できなかったガソリン(生ガス)も排出してしまう。アメリカで発表されたデータでは、2ストロークタイプの水上バイクは4ストロークのものと比較した場合、実に15倍もの環境負荷を与えるとしている。
実際、琵琶湖の水質は年々悪化しており、昨年の調査では水分中から発がん性物質のベンゼンが発見され、危機的状況にあることが明らかになった。ベンゼンはガソリン中に含まれる成分で、これが検出されるということは、水上バイクによる環境破壊が深刻であることを裏付けるものだ。
滋賀県では昨年から水上バイクの自粛を呼びかけているが、ユーザーが応じる気配を見せないため、現在の主流となっている2ストロークタイプの使用を禁止する条例を施行することになった。条例の実施は来年夏からの予定で、2ストロークタイプの水上バイクは全面使用禁止。排出する有害物質を削減した改良型2ストロークタイプについては、実情を判断した上で決めるという。
アメリカやヨーロッパでは環境上の問題からすでに2ストローク型エンジンを搭載している水上バイクの使用を禁止している地域もある。これら地域では4ストロークタイプの水上バイクが数年前から販売されているが、日本市場では2002年モデルからようやくラインナップに加わったという状態だ。つまり、メーカーは環境汚染で問題が生じていることを知りつつ、日本での販売を見送ってきたということにもなる。
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