「運が悪かった」で済まされない……中央道玉突き事故の原因探し困難

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20日午前、山梨県西桂町内の中央自動車道富士吉田線の下り線で起きた14台の関係する玉突き事故は、その後に死亡者が1名増え、4人死亡、1人重体、9人が重軽傷を追うという大事故となったが、この事故の責任追及は難航している。

というのも、この事故の発端となったのは、事故当時に周辺の畑で行われていた野焼きの火が引火したことによる火災の、その副産物ともいえる“煙”だったからだ。一見は関係あるようにも思えるのだが、「火災と事故に直接の因果関係がある」と、そうはっきりと言えない。

火災による火がクルマに燃え移ったことで発生した場合には、その原因を作った者(この場合、野焼きを行った87歳男性)に対して「失火罪」が適用されるが、今回の事故では火災がクルマに延焼してしまったというわけではない。たまたま道路上に流れ込んだ煙が事故を引き起こす要因のひとつになったに過ぎず、このため延焼責任を追及するための「失火罪」は適用できない。

煙というファクターを除いた場合、事故の原因となった可能性が高いのは「ものすごい煙で運転ができない」と思い、現場付近の走行車線上でクルマを停止させた54歳の男性だ。が、この男性も危険回避を理由に減速、やむをえず停止したのであり、むしろそのクルマに突っ込んだ後続車のドライバーの前方不注意を問うべきではないかという考えにも達する。

しかし、その一方で後続のドライバーが現場で停止しなかったのは「ここで止まっては危ない。早く通り抜けることが安全」と考えた末の行動かもしれず、このあたり「どちらの判断が正しかったか」を断定するのは非常に難しい。

一般的には「運が悪かった」で収束してしまうことにもなるのだろうが、もちろん法律的にはそれで済ますことではできないわけで、捜査を行う山梨県警も、道路管理者である日本道路公団もそのあたりの対応には苦慮している。

《石田真一》

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