ソウル周辺にある3競技場への移動手段は、市内を縦横無尽に走る地下鉄を使うことが一番確実な方法だ。ソウルとインチョンの競技場は地下鉄駅と直結しており、スウォンは最寄り駅からシャトルバスが走る。
編集部が競技場までの移動手段に地下鉄を薦める理由はいくつかあるが、最大のポイントは「所要時間がハッキリしており、確実に目的地へたどり着けること」だ。また、日本からの観光客が泊まることになるであろうホテルが位置する市中心部の明洞(ミョンドン)、市庁前(シジョンアプ)、梨泰院(イーテーウォン)、新都心に当たる江南(カンナム)のいずれもが地下鉄駅に近いため、純粋な移動手段としても便利だ。
加えてどんなガイドブックにも地下鉄の路線図は掲載されており、移動中に自分の現在地が把握しやすいということもある。ハングル文字の意味が全くわからないという人にとってはこれが大きなアドバンテージとなる。
地下鉄を利用する上でお勧めしたいのが「交通カード」だ。これはIC方式のプリペイドカードで、改札機にタッチするだけで料金が差し引かれる便利なもの。JR東日本が導入している「Suica(スイカ)」と全く同じものなので、東京周辺の読者にはすでにおなじみとなっているかもしれない。乗るたびにキップを買う必要もないし、混雑必至の試合終了後にそのまま改札へスルーパスできることを考えたなら、こんな便利なものを使わない手は無いだろう。
ただ、このカードは駅では販売していない。地下鉄駅の入口近く(地上)にある新聞スタンドなどで販売している。全部のスタンドが取り扱っているわけではないが「キョトンカードゥ、ジュセヨ」と言えばOK。そこに在庫があれば出してくれるだろうし、無ければ取り扱っている別のスタンドを教えてくれるはずだ。値段は1万1500ウォン、つまり約1150円となる。このうち1500ウォンはICカードの代金で、1万ウォン分を実質的に使用できる。
利用できるのは韓国国鉄の電車区間を含むソウル市内の地下鉄全路線、そして路線バスだ。いずれも乗車前に自動改札機やバスのドア近くにあるセンサーにカードを接触させ、下りるときにも同様に接触させる。これで運賃の決済が終了する仕組みだ。韓国の地下鉄は異様なほど運賃が安く、所要2時間の最長距離を乗り継いだとしても700ウォン(約70円)だ。1万ウォンもあれば数日の滞在で使い切ることはまずありえないが、利便性を考えれば決して高くない。