嫌がらせ目的の事故誘発は傷害致死に当たらず---加害者に甘い判決?

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バイクに乗った少年が自分に対しての挑発行為を行ったと勘違いし、バイクを追い掛け回したことで結果的に少年が事故を起こして死亡する要因を作り出したとして、傷害致死罪に問われていた25歳の男に対する判決公判が3日、福岡地裁小倉支部であった。裁判長は「暴行による死亡ではない」と認定し、刑を大幅に軽減する判断を行っている。

この事件は1999年11月14日の午前1時30分ごろに起きた。被告となる男が自分のクルマを運転中、すれちがったオートバイの少年が自分のクルマの真横で空ぶかしを行ったことから、被告はこれ少年のを挑発行為と受け取り、その場でUターンし、このバイクの追跡を始めた。被告はバイクの後方2メートル付近まで急接近するなど、600メートルに渡って執拗な嫌がらせを繰り返し、逃げようとした少年は運転を誤り、駐車中のトラックに激突するなどして死亡した。

警察では「暴行と同レベルといえる挑発行為が原因で少年が死亡した」として、この男を傷害致死容疑で逮捕して送検。検察も起訴理由を「傷害致死、予備的訴因として業務上過失致死および道路交通法違反(救護義務違反、事故不申告)」としていた。

3日の判決公判で福岡地裁小倉支部の大泉一夫裁判長は、被告の行為を「明らかな嫌がらせ目的だが、それを暴行による死と同一視することはできない」とし、被告側に対して総額5200万円の賠償金支払いにも同意していることから、傷害致死による懲役7年の求刑を退け、業務上過失致死による懲役2年6カ月の実刑判決を言い渡した。

事前に被害者側遺族と和解が成立していることを評価したものだが、同様の事件は全国で多発しており、今後の判決でこの判決例が参考にされることを考えると“勇み足”だった気がしないわけでもない。

《石田真一》

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