セイコーエプソンは、世界最高水準の高速・高感度測位を実現し、屋内でも単独測位が可能なGPS技術を開発した。今後この技術をベースに、カーナビゲーションシステムや携帯情報端末などへの組み込みを目的とした高感度GPSモジュールおよび応用端末の商品化を図る予定だという。
近年、携帯電話や携帯情報端末(PDA)等の携帯機器に位置情報サービスを導入する動きが高まっている。位置情報サービスにはGPS技術が広く利用されているが、GPS技術の性質上、ビルの谷間が多い都心や屋内といった場所ではGPS信号の受信が困難で、そのことをエプソンでは位置情報サービスの向上や市場拡大のための大きな課題と捉えていたそうだ。
今回、エプソンが新開発したGPS技術は、世界最高水準の3つの高性能として、(1)屋内やビルの谷間でも測位可能な高感度、(2)屋外2〜3秒、屋内10秒以内という高速測位、(3)屋外1〜3m、屋内5〜30mという高精度、を特長としている。
感度についてエプソンでは-155dBm以上と発表している。dBmは感度を示す単位で、数字が小さいほど高感度をあらわす。今までのGPSだと-130dBm程度。屋外で空がしっかり見える範囲で-135dBm、建物の窓際1〜2m付近で-150dBmの感度が必要だが、今回の-155dBmという数字は、窓のない建物の内部でも感度が保てる程だと言うからスゴい。
受信精度を上げるための工夫を、開発を担当したセイコーエプソン・ビジネス開拓本部GPSビジネス推進部の北沢豊課長は「GPSは、地球上空2万mに位置するGPS衛星から送られてくるいくつかの信号をもとに測位をするが、今回は、従来よりも弱いレベルの信号まで重ね合わせることによって精度を出している」と語る。
「ノイズなどが混じった信号から必要な信号を拾い出す技術と、得られた複数の信号を足していく技術がエプソンのノウハウとしてあったからなせる技術」という。
エプソンではこの技術ベースに、カーナビゲーション技術や携帯情報端末などへの組み込みを目的とした高感度GPSモジュールを商品化していく。このモジュールは単独測位において、屋内でも位置取得が可能な高感度を有し、幅広い環境での利用が実現でき、またネットワークサーバーとの連携によりさらなる高速化や高精度化等の測位性能を向上させることができるという。
コスト的には今までのシステムよりも若干高い程度で、消費電力は同レベルの他社製品と同等以下になる模様。
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