青函トンネル初の火災事故は、塩分で腐食したトラックの電気系統が原因

自動車 社会 社会

JR北海道は19日、今月13日午後に青函トンネルの作業坑内で発生したトラック火災は、エンジンの点火系統が塩害によって腐食し、セルモーターが勝手に回って異常過熱したことが発端であるとの見解を明らかにした。

この事故は今月13日の午後、青函トンネルの北海道側の作業坑内で、JR北海道がトンネル施設の点検などに使用しているトラックが突然炎上したというもの。同トンネル内で発生した初の火災事故で、トンネルを通過中の列車を含め、数本が一時足止めされた。

事故原因を調べていた北海道警やJR北海道は、特にエンジン周辺の燃え方が著しいことから、当初は燃料系統の異常を疑っていた。ところが他のトラックで点火系統(ハイテンションケーブル、イグニッションコイル)などが腐食していることが発見された。このため、腐食が原因となった配線短絡が起き、その結果としてセルモーターが回りっぱなしになり、過熱から発火に至った可能性が高いという見方に修正した。

沿岸部で使用されるクルマなどでは、海から吹き付ける潮風による塩害で腐食が早まることが知られているが、密閉されたトンネル内を突き抜ける空気は地上よりも塩分濃度が濃いという。JR北海道は「ここに配置すると2年が寿命」ということで、他の地域で使い古したトラック(事故を起こしたトラックは1994年製)をトンネル内に持ち込んでいたが、配置後1年を待たずに焼損してしまった。

トンネルを走る列車については不燃材を多用するなど安全対策を進めているが、今回は保線用のトラックが炎上する事態で不名誉な初の火災事故を引き起こしたことになる。JRでは「安全対策を根本から見直したい」とコメントしているが、具体的な対策を取りようもないのが実情だ。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. メルセデスベンツ、全固体電池搭載『EQS』で1205km無充電走行を達成
  2. 「めっちゃカッコよくない?」無限仕様の新型『プレリュード』が話題に、SNSではホイールにも「たまらない」の声
  3. 「動画を観る」もっとも良い方法とは? トヨタ車純正ディスプレイオーディオ搭載車の場合は?[車内エンタメ最新事情]
  4. アイシンが明かす、トランスミッションの膨大な経験値とノウハウが電動化を主導する理由
  5. 復活の『テスタロッサ』にスパイダー、ハードトップは14秒で開閉可能…最高速330km/h
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る