「中古車のキャンセルに違約金は生じず」大阪地裁が初判断

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大阪地裁は19日、中古車の注文を取り消した客に、契約解除の違約金を請求していた中古車販売業者に対し、「実際の損害は発生していない」として請求棄却の判決を言い渡した。昨年4月施行の消費者契約法を基にしたもので、業者の請求を認めないという一審での判断は今回が初めて。

判決などによると、問題が起きたのは昨年6月。被告の男性が大阪府堺市にある中古車販売業者を訪れ、クルマを探していたが、希望のものがその店舗には無かった。そこで業者は「オークションなどで探す」として、この男性に希望車種などを書かせ、仮予約伝票を作成した。しかし、男性は別の業者で希望車種を見つけたため、翌日に「もう探さなくていい」と断りの連絡を入れた。ところが業者は「仮契約書には“契約撤回の場合には違約金を請求されても異議は申し立てない”と書いてある。だからキャンセル料として17万8500円を支払え」とこの男性に強く迫った。しかし、男性は「本契約を結んだわけではない」としてこれを拒否。この態度に腹を立てた業者側が大阪地裁に提訴していた。

19日の判決で大阪地裁の曳野久男裁判官は「業者は販売で得られたであろう粗利益分の損害を被ったと主張するが、仮契約を取ったと主張する段階では現物がなく、発注もしていない。また、探すように依頼した商品は特殊なものでもなく、仮に現物を入手できていたとしても業者に不利益は生じない」と指摘。さらに「業者の粗利益については消費者契約法9条で定められた“業者側の平均的損害”に該当せず、この部分の損害の明細について原告側は何らの立証を出来ていないことから見て、損害金を請求する根拠はない」として、業者の請求自体を棄却する判決を言い渡した。

商品の購入契約解除を巡り、こうした違約金の請求が原因となる裁判は過去にも例があるが、消費者契約法を理由に地裁レベルで「払う必要がない」とする判断は初めてのもので、今後こうした裁判の判断理由になるという意味では画期的なものだといえる。

《石田真一》

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