今回発表された消救車『FFA(Fire Fighter Ambulances)-001』は、試作1号車ということもあり、「まずは見栄えの良さをデザインの第一条件にした」と、モリタでポンプ事業部の本部長を務める出水重次さんは語る。コンセプトカーの製作で実績のある村上商会に外観デザインを委ねたこともあり、緊急車両とは思えないまとまり感がある。
ベースとなったのは三菱ふそう『キャンター』だが、シャシーについては4トン車をベースとしたものならメーカーは問わないそうだ。これまでとは違い、FRP製の上部構造物にポンプなど給・排水系統を全てセットしたため、車種選びの自由度は従来より増しているらしい。車体横から患者を車内に収納する電動油圧式のスイングアームについては、もちろん他には例のない新機構だが、部品としてはトラックの荷台に使われる油圧系統をダブルで配置しており、故障することは考えにくいが、万が一の場合には手動で格納できるアシスト機能も装備されている。「新機構だけに気を使う必要があった」と語るとおり、この横開きドアが消救車最大の特徴だけに信頼性は必要以上に高くした。
救急機能ばかりがクローズアップされがちだが、消防ポンプについても新機構を取り入れている。「e-モニター」というタッチセンサーパネル付き液晶ディスプレイを操作パネルに配置し、これまでのように複雑な操作をせずとも、パネルにタッチするだけでポンプ操作ができるようになったのは最大の特徴。また、20mのホース8本を収納したホースカーもFRP化しており、こちらは従来比の半分程度となった。ホースを運搬する消防隊員の労力低減にもつながるため、隠れたセールスポイントになると自信満々。
こうしたハイテクを積極的に装備しながら、消防車と救急車の2台を買うより400万円近く安くしたという点は特筆に価する。実際の発売は来年4月だというが、法的な問題さえクリアされたなら、これは爆発的なヒットになるのではないだろうか。