福岡県警は23日、ひったくり犯罪を行う目的で原付バイクを次々に盗み出していた少年4人を窃盗容疑で逮捕したことを明らかにした。ひったくりを行う前に、犯行に使うバイクも現地調達することを特徴としており、余罪は40件を超えるものとみられるが、このうち30件については関連を供述としているといわれる。
警察の調べによると、この4人は22日未明、福岡市中央区内の公園にナンバープレートの無い原付バイク3台を持ち込み、公園内で乗り回していることを不審に思った近所の住民が警察に通報。駆けつけた警察官がこのうちの1台が前日夜に盗まれ、被害届けが出ていたものと同一であることを確認したため、当初はバイクの窃盗容疑で逮捕した。
ところが目撃者が「2台で並走し、2人乗りのバイクが別の1台を追い越すようなことを繰り返していた」と話していたため、警察では少年らがひったくりの練習をしていたものと判断。取り調べの際に追及したところ、福岡市早良区周辺で起きている30件のひったくり犯罪を「自分たちがやった」と供述したため、この容疑でも捜査を行うことになった。
供述によると、この少年らは遊び仲間10人程度でゲームセンターなどで遊ぶ資金の調達を目的としたグループを組織。福岡市中心部の天神周辺に路上駐車されている原付バイクを盗み出し、そのままひったくり犯行に及び、犯行後はバイクを乗り捨てるという手口を繰り返していた。バイクを犯行の度に乗り換えるのは犯行の発覚を恐れたためで、「同じバイクを使うのは同日同時間帯の2回が限度、使った後にはすぐに捨てる」と決めていたらしい。
福岡市西部では今年春以降、警察が把握しているだけで45件のひったくり被害が出ている。ひったくりと同様に、バイク盗難の被害も福岡市中心部と西部を結ぶ国道202号線の沿線で多発していたが、これまではバイクの盗難とひったくりが完全にリンクしているとは警察でも考えておらず、盗まれたはずのバイクもすぐに発見されることから「寸借されたもの」と認識されてきた。それが今回の犯行発覚で関連性が浮上したというわけで、警察では今後の捜査の過程で関連性を明らかにしていきたいとしている。