21日まで横浜市神奈川区のマツダR&Dセンター横浜で「新型デミオとその技術展in横浜」が開催されている。1日、特別企画として開発担当者による講演会が開催され、開発主査、チーフデザイナーを含む開発メンバーが新型『デミオ』について語った。
開発責任者の藤原清志・主査は新型『デミオ』の大きな特徴であるキャンバストップは横浜生まれだという。R&Dセンター横浜にある商品企画ビジネス戦略本部・先行商品企画室で発案されたそうだ。
企画室の菅井育子さんは、「バブル崩壊以降、普段の暮らしを大事にする人が多くなりました。そこで木漏れ日のような光をクルマの室内で再現したいと考えたのです」という。そのためのキャンバストップは、外層が東京ドームの屋根と同じ素材。東京ドームでは晴れの日の昼間なら照明無しでもゲームができるが、自動車用としては明るすぎるので透明度を落としてあるそうだ。
デミオの先祖とも言える『フェスティバ』をキャンバストップで大ヒットさせたことのあるマツダだが、意外なことに新型デミオでは「(開発陣では)私以外、誰も話に乗ってくれなかった」と藤原主査はいう。実際の開発をまとめた山本和久・先行商品企画室(横浜)主任は、中古のフェスティバを改造して実験車を作ったそうだ。「タイコ音や結露などキャンバストップの問題点を数十点あげ、ひとつひとつ解決して行きました。衝突安全性もクローズドボディと大差ないものを達成し、商品化を実現しました」
藤原主査は「メルセデスベンツの横浜研究所で最初にデザインされ、先日量産発表されたン千万円の高級車(『マイバッハ』)が、やはり光線を透過するルーフなんです。同じ頃に同じところで同じようなことを考えていたんですね」と面白がる。