2000年秋、日本で言うところの会社更生法適用が決まり、その後はずっと身売り先を探してきた韓国第2位の自動車メーカーだった大宇(デーウ)。GMが引き受けることがようやく決まり、韓国内ではGM大宇という名称で再スタートすることになった。
新組織発足と同時に5ドアハッチバック&スモールセダンの『カーロス』、4ドアミドルクラスセダン『ラチェッティ』の2車種を登場させた。一連のゴタゴタが起きる前から開発がスタートしていたものだが、約1年間の中断期間が生じてしまう。カーロスは世界戦略小型車が乱立する世の中で「今のままでは勝ち目がない」と判断。デザイン面などは開発再開以後、可能なかぎりで見直し作業を進めたようだ。
ただし、消費者の目で2車を冷静に眺めた場合、そこに中断期間1年間のギャップが全くあらわれていない。そう言ったなら嘘になってしまう。大宇の開発が止まった1年間、他メーカーの頑張りもあり、韓国車の質感は格段に向上した。ところがこの2車はそれを置き忘れている。
カーロスのシンプルなエクステリアデザインには好感が持てるのだが、中身はプラスチッキーな面しか見えてこない。当面は韓国内専用とのことだが、これを世界戦略車とするならどこに出しても勝ちようがない。作ったばかりというのもあるかもしれないが、有機溶剤系の匂いが鼻をやたらと刺激するのもマイナスだ。韓国人プレスの中には匂いのひどさに「産地直送かい?」と、スタッフに皮肉を言う人も。ラチェッティも高級感がウリだったこれまでの大宇とは一線を画す。安っぽさは隠せない。会社更生法の申請直前に発表された『マグナス・イーグル』とは全く違う。別メーカーのものという気もする。
開場後は「厳しい意見も真摯にお受けします」とスタッフは前向きだったが、午後には2車の周囲に説明員の姿はなし。文句を言われてばかりで疲れてしまったのだろうか。