水戸検察審査会は25日、2000年9月下旬に茨城県水戸市内で発生した死亡ひき逃げ事故について、不起訴不当の議決を行ったことを明らかにした。加害者が警察の事情聴取で行った供述と、被害者が実際に倒れていた位置や様態に相違が認められるという。
問題の事故は2000年9月26日未明、茨城県水戸市内の市道で発生した。30歳の女性が運転する乗用車が、酔って路上で寝ていた37歳の男性をはね、そのまま逃走したというもの。男性はクルマにはねられた際、胸部を圧迫したことなどが原因で死亡している。警察は「大きな物音を聞いた」という住民の通報を受けて現場に急行。周辺での捜索を行った結果、事故から1時間後に容疑車両を発見。所有者の女性を追及したところ、「何かを踏んだようだ」と、ひき逃げ容疑をほのめかす発言を行ったため、業務上過失致死と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で逮捕した。
警察の取り調べに対してこの女性は「角を曲がったあたりで何かを踏んだような気がした。まさか人とは思わなかった」と供述。被害者の血液から多量のアルコールが検出されていたこともあり、水戸地検も「直接の原因は泥酔した被害者が路上で寝ていたことにある。曲がり角の先に人が倒れているとは相当予見性に欠ける」と認定。女性が事故を避けることは困難な状況にあるとして、ひき逃げ容疑も含めて嫌疑不十分で不起訴処分とした。遺族側は検察の判断について猛反発。水戸検察審査会に対して不服審査の申し立てを行った。
同検査会では慎重にこの案件を検討してきたが、25日までに「供述調書では被害者の位置や様態に相違があり、第一発見者の捜索や車両の検証が不十分。容疑車両の発見状況にも不自然な点があり、嫌疑不十分での不起訴処分に納得できない」として不起訴不当の評決を下した。
その理由として「ある程度の損傷が容疑車両に認められるが、運転者の女性が事故直後に点検していない、と供述していること」、「捜査段階で警察側が容疑車両の検分をあまり行っておらず、検証が不十分であると認められること」、「ひき逃げ発生から1時間程度で容疑車両の発見に至るというプロセスに不自然な点が見受けられること」、「被害者の倒れていた位置が異なる可能性が高いこと」などを挙げている。
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