故障したトラックはただちに止める必要あり---白煙を出した運転手を書類送検

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昨年7月、兵庫県淡路町内の神戸淡路鳴門自動車道でエンジンブローしたトラックから吹き上がった白煙で視界を失った後続車が次々と衝突し、4人が死亡、48人が重軽傷を負った事故について兵庫県警高速隊は14日、故障を起こしたトラックを運転していた44歳の男を業務上過失致死傷の疑いで書類送検したことを明らかにした。

この事故は昨年7月11日夜に発生した。勤務する会社が所有するトラックで明石海峡大橋を走行していた44歳の運転手がエンジンに異常を感じ、後方に白煙が吹き上がっていることを確認したものの、止められる場所がないと判断し、約1.7kmを走行。路肩に停車する頃にはトラックのエンジンから吹き上がった白煙によって視界が遮られ、前方約1メートル付近しか見渡せない状態になっていた。そうした状況の中でバスや大型トラックなど後続車9台が次々に衝突する多重衝突事故に発展。52人が死傷する惨事になった。

後日行われた調査で、故障したトラックのエンジンは最高速度を抑制するための「フルスピードストッパー」と呼ばれる部品が故意に緩められ、通常よりも多くの燃料がエンジンに流れ込むように調整されていたことがわかった。ストッパーは調整ができないよう、プラスチックカバーで封印されているが、事故を起こしたトラックはこれがむき出しの状態になっていたという。

県警ではこれが事故の一因になった可能性が高いとして捜査してきたが、道路運送車両法ではターボの整備まで求めていないことや、運転手本人が「ストッパーを調整したことはない」と強く否定していることから、煙が噴出したことについての刑事責任を取らせるのは困難と判断。道路運送車両法違反での送検を見送り、死傷事故の要因を作った業務上過失致死傷についてのみ送検対象とすることに決めた。

また、後続車のうち、危険を感じて減速動作を行った路線バス1台を除く8台については、「白煙に危険を感じて速度を落とすなどの積極回避動作を怠るなど、安全運転義務違反があった」として、8人の運転手(うち2人はこの事故で死亡)を同様に業務上過失致死傷容疑で書類送検している。

《石田真一》

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