被告人行方不明を理由に13年間放置状態だった刑事裁判、ついに決着

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公判途中に被告が失踪して行方不明となり、1989年から審理の進行が止まっていた酒気帯び運転を原因とする交通事故についての控訴審判決公判が15日、大阪高裁で開かれ、裁判長は失踪したままの被告に対して執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。

問題の事故は1987年7月、滋賀県草津市内で発生した。トラックと乗用車が正面衝突事故を起こし、乗用車側の1人と、トラックに同乗していた1人が重軽傷を負った。警察ではトラックを運転していた当時37歳の男の酒気帯び運転が事故の原因として、この男を業務上過失致傷と道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕した。

ところがこの男は警察や検察の取り調べに対して「運転していたのは同乗者とされた人物であり、自分ではない」と強固に主張。一審の大津地裁判決では「被告が運転していたと合理的に判断できる証拠は何もない」として無罪判決を言い渡し、これを不服とした検察側が大阪高裁に控訴していた。

ほどなくして大阪高裁で控訴審が開始。被告は当初こそ出席していたが、1989年に行われた公判を最後にその所在がわからなくなり、以後は法廷に姿を見せなくなった。それまで住んでいた住居も引き払われており、裁判官は「被告人行方不明により、公判維持が困難となった」と判断。それを機に約13年の間、審理が中断したままの状態が続いていた。

しかし、未決事件の審理を急ぎ、事件の解決を早期に目指すという考えから、この裁判についても審理再開の検討を開始。これまでは「公判期日の連絡が取れないから続行不可能」としてきたが、「転居届を出さないのは被告の責任。裁判所が公告を行えば期日連絡はそれで足りるし、連絡は行ったものと判断できる」と認定し、この裁判については被告不在のままで行われることになった。

15日の判決公判で大阪高裁の豊田健裁判長は「同乗者が運転していたとする被告の供述にこそ信用性はない」と指摘。一審の大津地裁判決を破棄し、改めて懲役1年6カ月(執行猶予4年)の有罪判決を言い渡した。

だが、この日も被告の姿は法廷になく、判決内容についての告知も公告で済ますという。

《石田真一》

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