車上荒らしは悪いこと、だけど取り押さえは過剰な暴行だから賠償しろ…と訴え

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2001年11月、栃木県宇都宮市で自分のクルマを物色していた車上荒らしの男を取り押さえようとした際、行き過ぎた行為でこの男を死亡させたとして、車上荒らし犯の遺族が総額1000万円の損害賠償を求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が宇都宮地裁で開かれた。

この事件は2001年11月20日未明に起きた。宇都宮市平松本町でマンションの駐車場に置いていたクルマを何者かが物色している様子を所有者の男性(今回の裁判では被告)が発見。逃げる男を130mに渡って追跡し、背後からタックルして地面に押し倒した。男はなおも逃げようと抵抗したため、男性は首投げや絞め技などを駆使して取り押さえた。

ところが車上荒らし犯の男は左腕での首絞め直後から意識を失い、病院に収容されたが窒息が原因で死亡した。警察では男性の取り押さえが過剰だった可能性が高いとして業務上過失致死容疑で事情を聞いていたが、凶器を持っているかもしれない犯人の確保を理由としていたこと、抵抗を繰り返していたために取り押さえる行為をエスカレートせざるを得なかったという理由から、男性の「正当防衛である」という主張が事実上認められる形となり、起訴猶予処分となった。

この決定に車上荒らし犯の遺族は不服の意思を表明。車上荒らしが犯罪行為であることは認めつつも、これを取り押さえようとした男性の行為こそ過剰であり、事件に対する過失割合は1対1、つまり対等になるとして、慰謝料や逸失利益として1000万円を求める民事調停を申し立てていた。しかしながら取り押さえた男性もこれに反発、調停が不調に終わったため、今度は訴訟で争うことになった。

7日に行われた第1回口頭弁論で原告(車上荒らし)側は「被害者自身が原因で事件が起きたとしても、男性の取り押さえは過剰な行為であることは明らかで、一定の賠償がなされるべきだ」と主張した。

これに対して被告(取り押さえた男性)側は「仮に取り押さえたことが原因で死亡したとしても正当防衛に当たるので責任はない」と反論し、裁判所に原告の請求を棄却するように求めた。

裁判は今後も継続される予定。

《石田真一》

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