日本自動車工業会は15日開いた通常総会で、下平隆氏が常務理事に就任する人事を発表した。6月1日から就任する。下平氏は国土交通省出身。牙城を崩した国土交通省と既得権を守りたい経済産業省との熱い戦いに発展しそうだ。
自工会は、自動車メーカーが会員企業だ。このため、政府の所管は経済産業省の専門所管となっている。このため、役員の天下りも旧通産省の経済産業省や経済産業省の外局に限られていた。
しかし、旧運輸省の国土交通省では、以前から自工会が国土交通省の天下りを受け入れないことを不満に思っており、強く働きかけてきた。政府が環境規制を強めていることもあって、ここに危機感を抱いた自工会は今回、ついに所管もしていない国土交通省からの天下りを受け入れてしまった。
これをおもしろく思わないのは経済産業省だ。天下り先がただでさえ減っているのに、所管もしていない省庁からの天下りなど許されない。下平氏は次は副会長の座を狙い、国土交通省から定期的に天下りを受け入れるのを狙っていると警戒感を強めている。
これに対して国土交通省は、下平氏の自工会入りを突破口にして、今度は自動車メーカー役員の座を狙うのは確実。
両省とも真の目的は天下り先の確保によるOBの高額な報酬・退職金目当てが明らかなだけに、レベルの低い争い?