ロシア向けの日本車輸出事情に変化…高額税導入で

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大阪税関・伏木税関支署は15日、ロシア船員が手荷物扱いで海外に輸出する中古車が4月単月で約8700台に達したことを明らかにした。これは今年1月単月の4倍に当たる数値。6月からロシアで個人向け自動車輸入関税が撤廃されることから、駆け込み需要が高まったらしい。

大阪税関・伏木税関支署が管理しているのは、日本海側に面した富山港や富山新港、ふ伏木港など、いずれもロシア船が多く寄港する港としても知られる。魚介類を日本に運んできたロシア船は、船員の手荷物扱いで日本製中古車を持ち帰ることを常としている。

数年前まではお土産扱いといった感じだったが、ロシア国内で日本車が高値で売れるようになってからは持ち帰る量が増加。最近では日本へ寄港する船を大型化させ、船員の数を増やすなどして、一回の航海で運搬できる量をさらに増すなどしていた。

同支署ではこれまで月2000台ペースで輸出の許可を出してきたが、2月にはそれが約5700と3倍近い伸びを見せた。3月には約7000台、4月には約8700台、今月は1万台近くになるのではないかという急激な増加率を見せている。

この背景にあるのが、ロシアが6月から導入するとしている個人向けの自動車輸入関税の撤廃だ。従来は手荷物扱いだったため、安い税率でロシア国内に持ち込むことができた。しかし、日本から持ち込んだクルマを売ることがビジネスとして成立している以上、国がこれを黙って見過ごすわけもなく、法人並みの高い税率を課して税収を増そうという考えに至ったらしい。

この方針がロシア国内で発表された今年2月以降、増税前の駆け込み需要が生じ、日本からの持ち出しが急激に増えたというわけだ。

持ち出される台数が増えたことで、高級RV車を中心とした盗難車が増えるという危惧もあり、同署では神経を尖らせている。今年に入ってからすでに10台の盗難車が発見されているという。昨年1年間に摘発した盗難車が39台であることを考えた場合、この時期で10台というのはたしかに数字としては多い。しかし、今は持ち出される台数が昨年とは比較にならないほど多く、台数比で見た場合には少なくなる。

これまでのパターンでは、高級RV車1台を持ち出すために、その周囲へ他の中古車を積み重ねるという手法を取ってきた。しかし、今は危険を冒して高く売れる1台を持ち出すのではなく、安くて構わないから可能な限り多く持ち出すということに主眼が移っているのではないかと分析している。

《石田真一》

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