危険運転致死罪の最高刑---覚せい剤を使用の暴力力団員に

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覚せい剤を使用した状態でクルマを運転し、赤信号を無視して交差点に進入。横断歩道を歩いていた男性を死亡させ、道路交通法違反と危険運転致死罪に問われた36歳の元暴力団組員に対する判決公判が19日、札幌地裁で行われた。裁判長は「身勝手で極めて悪質」として、同罪の最高懲役である懲役10年の実刑判決を言い渡した。

問題の事故は昨年11月26日に起きた。札幌市東区内の市道交差点に設置された横断歩道を渡っていた52歳の男性が、赤信号を無視して高速度で進入してきたクルマにはねられて死亡したというもの。クルマはそのまま逃走したが、後の調べで36歳の暴力団員がこのひき逃げに関わっていることが判明。

当初は業務上過失致死と道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕されたが、後にこの男がクルマの運転前に覚せい剤を使用していたことが発覚。薬物原因での事故とみなされ、危険運転致死容疑が適用されることになった。

警察での取り調べの際、男は「幹部から“分別していない”など、ゴミの捨て方を注意され、腹立たしさを抑えるために覚せい剤を使った。遅刻しそうになっていたので急いで走っている際、赤信号で交差点に進入して事故を起こした」と供述した。

ところが起訴後は「信号無視はしていない、信号の色まで間違える状態ではなかった」と捜査段階での供述を一部否定。さらには「信号は見渡せなかった」と発言を変えながら、公判中は「信号無視はしていない」という主張を貫き通した。

19日の判決公判で札幌地裁の小池勝雅裁判長は「腹立たしさを抑えるために覚せい剤を使用したり、遅刻してさらに叱責されることを恐れて信号無視を強行した身勝手さが原因で発生した事故である」と断定。その上で「捜査段階での信号無視を認めた供述は正しく、公判中に証言を覆したのは保身である。道路は直線であり、信号が見渡せなかったという供述も信用性に欠ける」と指摘した。

また、事故の形態については「犯行態様は無謀かつ危険で悪質。人命軽視の態度は甚だしく言語道断」と強調。検察側の求刑通
り、危険運転致死罪の最高刑となる懲役10年を言い渡した。

《石田真一》

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