名古屋鉄道バスの車両使用停止は延べ240日

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名古屋鉄道の路線バス運転手が1年4カ月間も無免許運転を続け、その不祥事を会社ぐるみで隠蔽しようとした問題について国土交通省・中部運輸局は10日、道路運送法違反などで同社の岡崎統括自動車営業所のバス5台について、延べ240日間の車両使用停止処分を命じた。1台あたりの車両使用停止日数は48日間になる。また、中部運輸局長名で同社に対して安全確保を促す改善勧告も命じている。

一連の問題は今年2月19日の夜に発生した物損事故から始まった。愛知県岡崎市内の市道で名鉄バスの運転手が乗務していた路線バスに、後方から走ってきた軽自動車が追突するという事故が起きた。バスは事故に気がつかずそのまま現場から走り去ったが、当事者が警察に届けたことから、岡崎署は「バスの運転手から事情を聞きたい」と営業所に打診した。

この段階で乗務していた運転手が1年4カ月間も無免許運転だったことが発覚。会社側は事態の発覚を恐れ、別の運転手を替え玉にして警察への応対に当たらせていた。営業所は事態を本社に報告したが、本社の担当者は役員に対して「聞かなかったことにしてください」などと隠蔽を示唆。役員もこれを黙認していたことが後に明らかになった。

今回の処分に対し、名古屋鉄道側は「弁明しない」と当初から明言しており、延べ240日間の車両使用停止処分をそのまま受け入れる見込みだ。1台あたりの使用停止日数は48日間だが、保有する予備車7台のうち、5台がこれに当たるという。突発的な故障発生時や点検時には車両が足りなくなる恐れも生じるが、処分対象となる岡崎統括自動車営業所以外から車両を手配するため、利用者への影響はほとんど発生しないとみられている。

ただし、今回の処分を受けたことで名古屋鉄道バスにとっては別の面での不利益が大きくなる。処分を受けたために新規路線の認可が今後認められにくくなり、来年に開港が予定されている中部新空港へのシャトルバスの運行に支障が出る恐れも出てきたからだ。

中部地方のバス事業者にとって、中部新空港へのアクセスバスは「ドル箱路線」でもあり、これによる影響が発生したとしたなら、車両運行停止以上の痛手を被ることになる。今回の処分に弁明しないとしたのも、会社側が今回の事態を真摯に受け止め改善を図るという姿勢を運輸局にアピールするという狙いもありそうだ。

なお延べ240日間という車両使用停止期間は中部運輸局では過去最長。飲酒運転による死亡事故を昨年起こした神戸市交通局が350日間の使用停止命令を受けており、規模的にはこれに次ぐ2番目の記録となる。

《石田真一》

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