宮城県警、暴走族のクルマを“改善命令”付きで返還

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宮城県警は23日、道路交通法違反(共同危険行為)容疑で逮捕した暴走族から押収した改造車について、容疑者への返還前に道路運送車両法に基づく検査を運輸支局に実施させ、整備命令がなされた状態で容疑者に返還していたことを明らかにした。

押収物の返還は押収時の現状を保ったままで行うのが原則だが、今回は運輸支局の手を借りる形で不正改造のお墨付きを貰い、押収時の現状を維持するというスタイルを取りながらも「不正改造箇所を是正しない場合には使用停止、あるいは罰金を命じる」という改善命令を行っている。

これは宮城県警・交通指導課(暴走族対策室)が明らかにしたもの。今回、運輸支局による改善命令がなされた形で容疑者側に返還されたのは、今年4月に仙台市宮城野区の県道などで1時間に渡って蛇行運転や対向車線侵入を繰り返し、他車の通行を著しく妨害したとして道交法違反(共同危険行為)容疑で逮捕された暴走族メンバーが所有していたクルマ6台。

これらのクルマは全て何らかの違法改造が行われており、その内容もフルスモーク化、オーバーフェンダー装着、著しいローダウン化など多種多様。

暴走族グループはこれら改造車を使って暴走行為を行っていたため、警察では証拠品として押収していたが、容疑者に対する刑事手続きが全て終了した段階で「押収時の現状を維持したまま返還するという」という義務が生じる。

暴走族メンバーの使っていた車両について、裁判所が「没収する」と決定した場合は別だが、今回は没収決定は出ていない。しかし、こうした車両は再び暴走行為に使われる可能性が高く、本人が使わなくとも後輩などに転売して使わせるケースも目立つ。

警察では4月に施行された改正道路運送車両法に着目。所有者への返還を行う直前に道路運送車両法に基づく検査をするよう、宮城運輸支局に依頼した。運輸支局でもこれを快諾、異例となる押収車に対する検査を返還直前に実施した。この結果、押収した6台全てに不正改造箇所を確認。所有者に対して15日以内に不正改造箇所を是正し、運輸支局での改善確認を行うように促した。

この結果、「押収時の現状を維持したまま返還する」という義務はキープしながらも、実際には不正改造箇所の改善整備を行わないと使えなくなるという状態で返還させることに成功している。所有者6人はこの改善命令には素直に従い、全員が改善を実施しているという。

宮城県警では「改正道路運送車両法はクルマに不正改造を施した業者も摘発対象となっており、暴走族へ改造車を提供する業者の洗い出しや、以後の不正改造防止にもつながる」とその成果を強調しており、近く警察庁に対しても「この方法は一定の効果を発する」と報告する予定だ。

《石田真一》

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