警察官も保身のために嘘? 検察審査会が起訴相当を議決

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熊谷検察審査会は28日、2000年10月に埼玉県警・東松山署の警察官(当時)が職務中に起した死亡事故について「起訴相当」の議決を行っていたことを明らかにした。「供述に不審な点が多く見られ、事実と異なる可能性が高い」と評価されたことがその理由となっているようだ。

問題の事故は2000年10月8日の未明に発生している。同日の午前3時40分ごろ、埼玉県熊谷市内の県道を捜査車両で走行していた埼玉県警・東松山署員が、対向車線の前方でバイクの単独転倒事故を起し、路上に投げ出されて自己の車線側に侵入した28歳の男性をはねた。男性は病院に収容されたが、頭部の強打や内蔵の損傷が原因で死亡している。

後の調べでこの捜査員は「転倒して自分の車線に飛んでくるバイクに気を取られた。急ブレーキを使ったが最終的には男性にぶつかってしまった。男性に当たる直前には完全に減速を完了させ、停止する寸前だった」と供述。検察側もこれを認め、不起訴処分としている。

しかし、男性の遺族側は「捜査員の事故直後の供述では転倒したバイクをいつ目視したかについては触れておらず、転倒に至るまでの走行状態についても説明できていない」、「減速を完了させ、停止する寸前だったのなら、被害者は2mも跳ね飛ばされるのは不自然」、「総合的に考えるなら、捜査員は前方を注視していなかった可能性が高く、前方不注意という過失責任がある」と主張。検察審査会に対して不起訴不当の議決を求めていた。

熊谷検察審査会は「捜査員の前方不注意だった」という遺族の主張をほぼ認め、「捜査員の供述調書の内容には、事故発生の経緯や受傷状況などについて不自然としか考えられない内容が散見され、信憑性に欠ける」として、検察に対して捜査員への事情聴取を行ない、事故の経緯を改めて明らかにするように働きかけるとともに、起訴相当(不起訴不当の容認)の議決を行っている。

警察官が当事者となり、相手側が死亡したケースについては警察官の証言が全面的に採用されることも珍しくない。警察官は嘘を言わないという大前提があるからともいえるが、その大前提が誤りだとしたなら全く意味を成さなくなる。

《石田真一》

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