【特集】彼らはなぜ、高速道路を欲しがるのか…ハイウェイビジネスの“うまみ”

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【特集】彼らはなぜ、高速道路を欲しがるのか…ハイウェイビジネスの“うまみ”
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●政治家、キャリア、天下り……権力と欲望のハイウェイ

道路族の政治家や技術系キャリア官僚にとって、高速道路の建設事業は実に美味しい“ビジネス”だ。政治家は、地元選挙区に高速道路を誘致することで、建設業団体を通じた組織票・献金の獲得や“口利き”によるリベート収入などが見込める。しかも、高速道路建設に伴う地元負担はゼロ。地方自治体にも大きい顔ができ、色々と無理を言うことができるのだ。

さらに地方では、政治家の親族がサービスエリアのテナント企業や道路の維持管理会社を経営しているケースもある。高速道路という“閉ざされた空間”のレストランや物販店は行楽シーズンともなると驚異的な売り上げが見込めるし、道路の維持管理会社は永久に食いっぱぐれがない。もちろん、こうした公益法人やファミリー企業、そして公団には国土交通省OBも天下り、退官後に数千万から数億円もの給料を受け取っているのだ。

国交省道路局はまた、高速道路を含め、どの道路に予算をつけるかの権限(箇所づけと言われる)を持っており、高速道路や都道府県道の補助金が欲しい自治体の“弱み”につけ込んで土木部長ポストなどにキャリア官僚を出向させている。さらに技術系キャリア官僚は、出身大学ごとにOB会を組織し、定期的に懇親の場を持っている。彼らの大半は官庁や特殊法人、大手ゼネコンなどに散らばっており、ゼネコンへ天下る官僚も多い。

要するに、“抵抗勢力”と呼ばれる族議員にとってはカネとフダ(選挙票)を稼ぐために高速道路は欠かせない存在であり、キャリア官僚にとっても高給がもらえる天下り先の確保や都道府県へニラミを効かせるために高速道路の新規建設は絶対に譲れないのだ。

地元住民やドライバーは、利用者や納税者の視点から高速道路を評価する。しかし、政治家や官僚は、自分たちの権力と欲望を満たす“打ち出の小槌”としてしか見ていない。ここに、建設推進派と抑制派の価値観の違いが凝縮されている。もちろん、政治家や官僚はいつまでも小槌を振り続けたいはずだ——しょせん、自分のフトコロは痛まないのだから。

1/3●後は野となれ山となれ
2/3●独自の財務会計手法、粉飾決算

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《編集部》

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