注意を怠った責任はあるが予測は困難

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昨年3月、山梨県西桂町内の中央自動車道・富士吉田線の下り線で、付近の住民が行った野焼きの煙によって視界が失われる中で発生した多重衝突事故について、死傷者14人のうち、7人に事故の影響を与えたとして業務上過失致死傷の罪に問われていた35歳の元運転手に対する判決公判が7日、甲府地裁で行われた。

裁判所は被告に対し、禁固3年(執行猶予5年)の有罪判決を言い渡した。

この事故は2002年3月20日の午前に発生している。西桂町小沼付近の中央自動車道・富士吉田線の下り線で、現場付近の住民が行った野焼きの火が飛び火して高速道路ののり面に燃え移り、小規模な火災が発生した。

現場付近の高速道路は切り通し区間になっており、ここに煙が滞留。視界が全く無くなり、危険を感じた乗用車などが次々に停車した。

被告が運転するトラックは前方の状況を全く把握しないまま、100km/h程度の速度で進行を続け、車列後方へ追突。これが原因で多重衝突事故が発生し、合計14人が死傷した。被告はこのうち7人の死傷についての責任を問われ、業務上過失致死傷で起訴されていた。

7日の判決公判で甲府地裁の柴田誠裁判官は、「当時の現場付近では追い越し車線工事のために車線規制が行われ、同時に50km/h規制も実施されていたにもかかわらず、被告は注意義務を怠り、高い速度を維持したまま大型車を進入させるという過失を犯した」と判断した。

その一方で「煙の中に停止車両があると予測することが難しいのもまた事実で、この部分の予測ができなかったことを強く非難するのは適当ではない」として、禁固3年(執行猶予5年)の有罪判決を言い渡した。

この事件では前方にいた他のドライバーも送検されているが、「事故との因果関係は判断しにくい」として不起訴になり、さらには事故の発端ともなった野焼きを行った住民についても「事故の発生は予測外」として不起訴になり、最後方から突っ込んだ今回の被告のみが責任を問われる結果となった。

《石田真一》

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