マイナス20度Cで始動できる次世代型の燃料電池スタック『ホンダFCスタック』を10日発表した本田技術研究所の川口祐治上席研究員は、低温での始動性能について「最終的にはマイナス30度Cまでを目標にしている」と、明らかにした。同20度Cという新開発の技術で、米国のニューヨークなど北半球の主要都市をカバーできるという。
川口研究員は、同30度Cを実現すれば、「ほぼ全世界の自動車マーケットをカバーできる」と指摘、一段の性能アップを目指す方針を示した。新スタックを搭載した『FCX』は、すでに2台が公道試験に入っており、国内では北海道、米国では東部などの寒冷地でも試験する計画だ。
一方、新スタックを搭載した車両の市販について、川口研究員は「車両トータルとしての熟成が必要であり、しばらく時間がかかる。まずは信頼性を確保したい」と述べ、少なくとも今年の冬の試験が必要との考えを表明した。また、加美陽三主席研究員は「市販はコスト割れなので、いつ新スタックを搭載するかはトップの判断次第」と語った。