日本とメキシコのFTA(自由貿易協定)交渉の事務レベル協議が5日再開、年内合意を目指して動き始めた。交渉では豚肉、オレンジ果汁の農産品について、日本側の市場開放が焦点となるが、もう一方の柱となる自動車分野ではメキシコ側の関税撤廃スキームなど基本枠が固まったことが6日明らかになった。
交渉筋によると、現在乗用車で30%となっている日本車の関税については、協定発効時から9年の間、メキシコの自動車市場の3〜5%に相当する関税割当が実施される。その後、10年目から関税は撤廃される。
関税割当は、一定数量について関税をゼロにするもので、この場合はメキシコ市場(約100万台)の3%(約3万台)が当初の非関税枠となる。割当は3%でスタート、順次5%まで拡大することで両国政府は合意している。
日本車のメキシコ向け輸出は、2002年実績で2万1689台となっている。このうち約2万台は現地生産している日産自動車とホンダに対するゼロ関税割当による輸出となっている。
メキシコ政府は来年から日本車の関税を50%に引き上げる方針を打ち出しており、FTAが成立しない場合は、現地生産している日産とホンダを除いて日本車はメキシコ輸出から完全に締め出されることになる。メキシコ市場では現地生産分を含む日本車が24%程度で最高のシェアをもっているが、すでにFTAを締結したEU諸国からの輸入が急増しており、今年にも日本車を抜く可能性が出ている。