路線バス運転手による無免許運転を隠蔽し、道路交通法違反(無免許運転下命)や犯人隠避の罪に問われた名古屋鉄道(法人)と、隠蔽を黙認した同社の元取締役に対する判決公判が12日、名古屋地裁岡崎支部で開かれた。裁判所は法人としての同社に罰金100万円を、元取締役に執行猶予付きの懲役刑と罰金50万円を命じている。
発端となったのは今年2月19日の夜に発生した1件の物損事故だった。追突事故の被害者となった37歳の運転手が約1年4カ月もの間、無免許で路線バスを運転したことがわかった。会社側はこれを隠蔽するため、別の運転手を身代わりに立て、警察への取り調べなどに対応させたとされている。
名古屋鉄道・岡崎統括自動車営業所の運行管理者は事態を会社にも報告した。しかし、会社の上層部はこの不祥事を知りつつ、事態を隠蔽することで発覚を防いだ。
12日の判決公判で名古屋地裁岡崎支部の堀毅彦裁判長は「会社は長期的に無免許運転を見過ごし、さらには本社の幹部も積極的に事態を隠蔽した」と認定した。
その上で「地域の輸送をほぼ独占している企業として安全輸送の責務を果たす必要があるにも関わらず、法令遵守意識に乏しく、地域社会に与えた影響は大きい」として、法人としての名古屋鉄道に対して100万円の罰金を、隠蔽を最終的に容認したとされる元取締役に対しては懲役1年4カ月(執行猶予3年)と罰金50万円の有罪判決を言い渡した。