トンネルが低くなる?---道路管理者に賠償命令

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運送会社が「事故は高さ制限を明示しない道路管理者の怠慢で発生した」として、道路管理者である大津市を相手に損害賠償を求めていた裁判で、大津地裁は16日、市の責任を認め、修理費など約270万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

引越し専門の運送会社のトラックが、入口から奥へ向かうに従って徐々に天井が低くなる構造のトンネルを通行中、トラックの屋根部分を破損させた。

問題のトンネルは滋賀県大津市内の市道に設置されたトンネル。大津市池の里付近にあるこのトンネルは、上部を名神高速道路が横切る構造となっており、これによって入口高さが異なっている。

真上に障害物の無い入口(A)は高さが4.2mあるが、真上を高速道路が横切る出口(B)では3.0mしかなく、AからBに向けて走行した場合にはトンネルの天井が徐々に低くなってくる。

今回の裁判で原告側となった運送会社は昨年11月30日の午前、このトンネルをAからBに向けて通り抜けようとした。ところが高さ3.3mある荷台部分が途中で天井と接触し、荷台の屋根部分が大破してしまった。

このトンネル、B側には「高さ3.0m以下」と表記された警告板が設置されているが、事故当時のA側には設置されていなかった。このため、この道を通った経験がこれまでに無かったドライバーは「問題なく通り抜けられる」と判断して進行し、結果として事故に遭遇した。

道路管理者の大津市は同年12月、A側にも「高さ3.0m以下」の警告板を設置したが、運送会社側は「道路管理者がAとB双方に同内容の警告板を設置していれば事故の発生は未然に防げた」と反発。市に対してトラックの修理代や休車損など合計700万円の請求を行っていた。

しかし、大津市は「トラック運転手が安全確認を怠った結果として事故に至っている」として支払いを拒否。これを受け、運送会社側は今年3月までに大津地裁へ提訴していた。

16日に行われた判決で、大津地裁の神吉正則裁判官は「こうした場合は道路管理者が積極的に情報を掲示する責任がある」と認定。

その上で「大津市はクルマが安全にトンネル内を通過できるよう、双方の入口に高さ制限の警告板を設置する義務があった。事故はこれを明示しなかったことによって発生しており、道路管理者がその責任を免れることはできない」として、大津市に対して約270万円の損害を支払うように命じた。

《石田真一》

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