警視庁は28日、インターネットを通じて新車や中古車の仲介販売を行っていたクイック(2003年2月に自己破産)の元社長である38歳の男と、元常務だった44歳の女を詐欺容疑で逮捕した。
会社の経営状態が悪化しているにも関わらず、新車や中古車の購入注文を受け付け、総額で4億円以上を騙し取っていた疑いが持たれている。
警視庁・捜査2課の調べによると、同社は1994年ごろからインターネットを通じて、新車や中古車のディーラーを仲介する形で車両の販売を行ってきた。
しかし、2001年に資本参加していた総合商社の丸紅が撤退。この頃から急速に資金繰りが悪化したが、自転車操業状態で営業を続けていた。2002年夏ごろには実質的な経営が破綻。
しかし、それを表には出すことなく、受注を繰り返していた。最終的には仲介も行わず、客から金を集めたものの商品の引渡しもせず、2003年2月に4億5000万円の負債総額で自己破産し、事実上倒産した。
直接の逮捕容疑は、元社長が経営が破綻していた2002年12月、32歳の男性から新車の購入代金として100万円の手付金を受け取ったもののクルマの引渡しを行わず、現金の返却もしなかったというもの。
元常務は別の男性客が新車購入のためにローン契約を結んだクレジット会社から受け取った約240万円を正当な理由無く返却しなかったというもの。
2人はいずれも「詐欺ではない、不可抗力だ」と容疑を否認しているという。
クイックによる被害件数は判明しているだけで300件を超え、被害総額も4億円に達する規模となっている。同社の自己破産が判明した後に被害を受けた客が「クイック被害者の会」を結成しており、昨年5月には被害者の会名義での被害届も提出されている。
今後は騙し取った金の流れや、被害の裏付けなど、具体的な捜査が進められるものと思われる。