和歌山県警は6日、同居していた34歳の男性に自殺するように強要し、クルマで海に転落するという事故を実際に起こさせ、保険金2500万円を騙し取ろうとしたとして、恐喝罪で起訴されている35歳の男を自殺関与と詐欺未遂容疑で逮捕した。
警察の調べに対しては大筋で容疑を認めているという。
和歌山県警・捜査1課によると、問題の事故は昨年10月13日に発生している。同日午後7時30分ごろ、日高町にある阿尾漁港から34歳の男性が乗ったクルマが海に転落した。
一緒に釣りに来ていたと称する男から「コーヒーを買いに行ったまま帰ってこない」という通報があり、警察が付近を捜索した結果、海中に沈んでいるクルマを発見。男性は午後11時ごろに救出されたが、すでに死亡していた。
男は昨年12月に「男性は事故で死亡した」として、自分が契約している保険会社に対して搭乗者保険など約2500万円を請求した。しかし、死亡した男性とこの男が養子縁組を結ぶなど不自然な点があることから、支払いをストップしていた。
警察でも事故の経緯に不審な点が見受けられることから捜査を続けていたが、死亡した男性に対して男が継続的な暴行を行っていたことを確認。男を今年2月に男性に対する恐喝容疑で逮捕し、さらに調べを進めていた。
その結果、死亡した男性に対し、男が「死んで俺を助けろ」などと強要。死亡保険金による借金返済などを行おうとしていたことがわかった。
男は自宅の物置に男性を寝泊りさせるなど、事実上の軟禁状態として、顔を合わせる度に「まだ死んでいなかったのか」などとけしかけ、自殺を強要させていたとみられる。事件当日も一緒に漁港まで行き、目の前で事故を起こさせたものとみられている。
これらの理由から警察では「男性に対して自殺を強要したことは確実」と判断。男を自殺関与(教唆・ほう助)と詐欺未遂容疑で逮捕した。
警察の調べに対し、男は容疑を大筋で認めた上で「あいつは自分のために死んでくれた」と供述しているという。