スピードメーターの壊れた高速バス、運転継続

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日立電鉄バスは14日、同社が東京−日立間で運転する都市間高速バスで、スピードメーターが故障して動かなくなったバスをそのまま運行するという不祥事が起きていたことを明らかにした。

道路運送法違反の疑いもあるとして関東運輸局も調査に乗り出しているという。

日立電鉄バスによると、不祥事が起きたのは今月8日。同日の午後2時ごろ、日立駅前発JR東京駅行きの路線高速バスに乗務していた50歳の運転手が、東京駅で乗客を降ろし、共同運行会社であるJRバス関東・東京営業所(東京都江東区)にバスを回送させようとした際、バックランプが不点灯になっていることに気がついた。

運転手は東京営業所に到着後、自分でバックランプのヒューズを抜くなどの応急処置を行い、その旨を自社の整備担当者に電話連絡した。この際、整備担当者は「それで大丈夫でしょう」として、折り返し便の運行には支障がないと判断した。

ところが実際には電装系の故障は重篤で、折り返し便となるJR東京駅発日立駅前行きのバスとして運行するために営業所を出発した直後、運転手はスピードメーターが作動していないことに気づいた。

しかし、再整備や代替車の手配には時間が掛かることや、走行自体には支障がないことなどから、そのまま運転を続行。東京駅からは乗客を乗せて首都高速に入った。

バスが首都高速・6号三郷線を走行している際、最前部の座席にいた乗客がスピードメーターが動作していないことに気づき、運転手に「それは危ないじゃないか」と指摘した。

これに対して運転手は「他のクルマと同一の速度で走っているし、各出口を通過する時間をチェックしているので問題はない」と反論。運転を止めろ、止めないで口論となり、結果としてこの乗客が携帯電話で110番通報した。

運転手は常磐自動車道・三郷料金所付近でバスを一旦停止させ、110番通報の応対を行った警察官に対して「重大な故障では無いが、乗客の方とトラブルが生じている」と説明した。

通報を受けた埼玉県警は「乗務員と乗客の間で口論が生じた」と認識し、バスがその後も運行を継続したこともあって、現場に警察官を派遣しなかった。

バスはその後も他車とスピードを合わせる形で高速道路での走行を続け、終点には定刻よりも若干早く到着している。

バスは車庫に戻って点検を受けたが、この際にスピードメーターだけではなく、走行記録用のタコグラフも動作していなかったことがわかり、重大な故障と判断。国土交通省・関東運輸局に届け出を行っている。

同社では「定刻より早く到着したのは、渋滞を加味したダイヤを設定しているからであり、交通量の少ない土曜、休日の場合は早着も珍しくない」としているが、不祥事については「絶対にあってはならないこと。スピードメーターの故障が早い段階で判明していれば代替車の手配は行うか、部品の手配を進めていた」と、故障の度合いを認識する部分で手違いや伝達違いが生じていたことを認めている。

関東運輸局では「近日中に調査を行いたい」とコメントしている。

《石田真一》

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