この4月に参議院で可決された道路交通法改正案は、現在、衆議院での審議入りを待っている。すべての道路運転者に大きな影響を与える同法改正案は、衆議院ではどのように審議されるのか。その問題点と注目ポイントを民主党・市村浩一郎内閣委員に直撃した第3弾。天下り確保の民間委託よりもゴミ収集の地方自治体職員に委託してはどうかと提言。
──株式会社に違法駐車の監視を任せないとすれば、ほかにどんな方法があるのでしょうか?
「駐車違反は、けして軽い違反ではありません。反則金だけでなく罰金もある刑事罰でもある。これを警察が民間委託できるというなら、なぜ地方自治体にまかせることを考えないのでしょうか」
「例えば、アメリカでは道路清掃作業員が違法駐車のステッカーを貼ることができます。ゴミ収集や道路清掃作業のとき、違法駐車は作業の妨害になる。こうした迷惑に対して、行政制裁金を課すという発想です。それに制裁金だって高いものじゃない。7ドルくらいものです」
──東京でも、都内の幹線道路を違法駐車で渋滞させないために東京都などが交通監視員を配置して違法駐車の防止を呼びかけています。
「こうした監視員に駐車違反を委託するなど、本当に違法駐車に迷惑している地域でボランタリィ精神に沿って違法駐車監視をすれば、気持ちのよい道路になるはずです」
──確かに必要な場所で駐車違反の取締りが行われれば、取締り件数が問題ではありません。
「そのためには駐車違反に刑事罰を残したまま委託するのは無理がある。罰金を課せられれば経歴に残るような犯罪を、気楽にほかに任せるわけにはいかない。駐車違反は犯罪ではなく、地域に対する迷惑。」
「違法駐車の違反金は、その地域に対する迷惑料と定義しなおして、地方自治体が実情にあった取締りを考えればいい」
──駐車違反の摘発に関係する警察官を減らして、犯罪摘発に力を集中させるのが、民間委託の原点だったはずなんですが。
「参議院の答弁で警察庁は、民間委託でたった500人しか警察官は減らせないと回答しているのですから、無理して民間委託する必要などない。治安対策などで3年間で1万人の警察官を増員することが決まっているわけですから、本当に必要であればあと500人警察官を増員したほうが、よほど犯罪抑止にもなるはずです。なぜこだわるのか。ここに警察の天下りの疑わせる余地が生まれるのです」