【神尾寿のアンプラグドWeek】DSRC最大のライバル、FeliCaにJR東が出資!!

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5月20日、東日本旅客鉄道(JR東日本)が、フェリカネットワークスに資本参加すると発表した。フェリカネットワークスは、JR東日本の「Suicaカード」やJR西日本の「ICOCAカード」が使用する非接触ICチップ「FeliCa IC」の技術ライセンスやプラットフォーム運営事業を行っている会社であり、昨年、ソニーとNTTドコモの共同出資で設立された。目下の目標は、現在カードタイプで普及しているFeliCa ICの携帯電話への搭載だ。

携帯電話に搭載するFeliCaは「モバイルFeliCa IC」(以降、モバイルFeliCa)と呼ばれ、NTTドコモが正式採用を表明。また今回フェリカネットワークスに出資したJR東日本は、今年4月13日に、Suica機能を携帯電話で使う「モバイルSuica」サービスを'05年後半に開始すると発表している。

NTTドコモiモード企画部の夏野剛部長は、「iモードの次のステップは、携帯電話が決済や会員証の機能を持ったり、様々なデジタル家電とリアルに繋がる『生活インフラ化』。その中でモバイルFeliCaは鍵になる技術」と語る。

NTTドコモは今夏、2Gの506iCおよび3Gの900iCでFeliCa対応ケータイを発売開始し、「901iシリーズではモバイルFeliCaが標準機能になる。今後2年をかけて普及させて、5年後にはケータイでモバイルFeliCaを使うのは“あたりまえ”になるでしょう」(夏野部長)

一方、KDDIグループのauやボーダフォンも規格名の明言は避けているが非接触ICを携帯電話に搭載するのは前向きだ。あるKDDI幹部は、「JR東日本のモバイルSuicaが始まる頃には、当然ながら我々(au)の携帯電話でもモバイルFeliCaが利用できなければならない」と語る。

今回、JR東日本がフェリカネットワークスに資本参加した事によって、鉄道分野でモバイルFeliCaを使った「ケータイ決済」がスタンダードになる事は約束された。となると、気になるのはロードサイドビジネスでのモバイルFeliCaの可能性だ。

自動車分野では、有料道路の支払いでETCが普及期に入っている。国土交通省や経済産業省、そして自動車関連のメーカーやインフラ事業者は、このETCの発展系である「DSRC」を有料駐車場やガソリンスタンド、ドライブスルーなどの決済で普及させようと考えている。今年1月22日には、関係省庁と関連会社約170社が「DSRC普及促進検討会」を作ったばかりだ。

しかし、DSRCのサービスは現在ユーザーが持つETCの設備や機器がそのまま利用できない。DSRCの設備やユーザー端末の価格は、「量産が進んで低価格化しても、(店舗が設置する)基地局は1基1000万円程度、ユーザー端末は3万円程度。既存ETC端末のユーザーはDSRC端末への買い換えが必要」(DSRC関連メーカー幹部)だという。

一方、モバイルFeliCaは、店舗に設置する読み取り機(リーダー/ライター)が1台5万円程度から作れるという。ユーザー端末は、今後901iシリーズなど主力モデルに搭載されるので、携帯電話を「機種変更」すれば自動的にモバイルFeliCa機能もついてくる。

フェリカネットワークスの河内聡一代表取締役社長は、「(携帯電話に搭載する)モバイルFeliCaは、最初の1−2年で数百万、数千万台の規模でユーザー端末が普及させられます」と話す。ユーザー端末が大規模かつスピーディに社会に出回れば、店舗側が設備投資をするメリットがでやすくなる。その上、設備投資の金額も、DSRCよりケタ違いに安い。

今年5月17日から、コイン式駐車場大手のパーク24がドコモのFeliCa対応携帯電話試作機を使って試験サービスを始めるなど、民間のロードサイド企業の中でモバイルFeliCaに対する注目度は高まっている。

今回、JR東日本が資本的に「鉄道ではモバイルFeliCa」というお墨付きを与えたことは、DSRCを検討していたロードサイド企業にとって少なからぬ影響を与えそうだ。将来、DSRC陣営にとって手痛いダメージになる可能性があるだろう。

《神尾寿》

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