三菱自動車の河添元社長を逮捕…クレーム隠蔽

自動車 社会 社会

三菱ふそう製大型トラックの欠陥によって、2002年10月に山口県熊毛町(現在の周南市)で発生し、当時39歳の運転手が死亡した事故について、神奈川県警と山口県警は10日、三菱自動車の河添克彦元社長を業務上過失致死容疑で逮捕した。

神奈川、山口両県警の調べによると、問題の事故は2002年10月19日の深夜に発生している。熊取町安田(現:周南市安田)付近の山陽自動車道・熊毛インターチェンジ(IC)で、当時39歳の男性が運転する大型トラックが料金所を通過し、IC先で合流する県道の中央分離帯も乗り越え、道路脇に設置された歩行者用地下道の入り口に激突。トラックは大破して運転していた男性が死亡した。

山口県警が現場検証を行ったところ、熊毛ICの手前に事故を起こしたトラックから脱落したプロペラシャフトの一部を発見した。同県警では整備不良と車両欠陥の両面から捜査を行っていたが原因は不明のまま。

後に死亡した運転手が道路交通法違反(安全運転義務違反)容疑で被疑者死亡のまま送検されている。

三菱自動車は当時の捜査で車両欠陥を頑なに否定していたが、クラッチを格納する「クラッチハウジング」という金属部品の強度に問題があることを社内ではすでに認識していた。クラッチハウジングの破片が飛び散ることでブレーキ配管を傷つけ、重大事故になる可能性も1996年5月ごろから指摘され、いわゆるヤミ改修が行われていた。

しかし、2000年のクレーム隠し発覚の際にこれを中止。以後は何の対策も行わないまま放置していた。

両県警は、同社が1996年の段階で欠陥を認識し、リコールなどの手段で適切な改修を行っていれば2002年10月の事故は起こらなかった可能性が高いと断定。元社長の責任は重いと判断し、今回の逮捕に踏み切った。

警察ではクレーム隠蔽の経緯など、元社長を厳しく追及し、事件の全容解明を急ぐ方針だ。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 2.5Lエンジンを搭載する『インプレッサ』登場、米2026年モデルに「RS」
  2. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  3. 新型アウディ『Q3』のインテリアを公開、「コラム式シフト」と新デジタルコックピットが目玉に
  4. シボレー『コルベット』がニュルブルクリンクで「米国メーカー最速ラップ」樹立
  5. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る