7月27日、ITS世界会議日本組織委員会は名古屋において、今年10月18日から24日まで開催される「ITS世界会議 愛知・名古屋2004」の概要説明会を行った。
ITS世界会議は欧州のERITICO、アジア・太平洋のITS Japan、北米のITS-AMERICAの3極の持ち回りで行われており、日本で開催されるのは'95年の第2回横浜会議以来の9年ぶりになる。また、これまではITSを推進する世界の研究者や技術者、有識者が参加するイベントだったが、今回は一般ユーザーへの認知度向上を図るため、初の試みとして「市民参加」を呼びかける。
「市民参加の展示として、ITSを活かした街をシミュレーションした展示ブース『ITSワールド』の設置や、実際の街中で行うITS実験の見学会、有識者による市民講座を予定しています。またITS世界会議としては異例の土日開催も行います。ITSが実現する機能やサービスをユーザーが受け入れてくれるか。それを実際に一般の方々に評価してもらい、ニーズを探りたい」(ITS Japan ITS世界会議日本組織委員会 石 太郎事務局長)
具体的には、ETC/DSRCの活用や先進安全技術の進化、クルマと公共交通との連携をシームレス化するエコポイントなど、多岐多様なITS技術が、展示会場である「ポートメッセなごや」や名古屋市内を使って広く紹介されるという。
ITS世界会議は昨年のマドリッド会議では、電子・通信技術を使った先進安全分野に注力する傾向にあった。しかし今回は、「住みやすい社会を作るという観点では、『環境』は欠くことのできない要素」(石事務局長)という理由で、環境・安全・利便性の3本柱がテーマになっている。
また、今回のITS世界会議名古屋は、来年、地球環境との共生をテーマに行われる愛知万博「愛・地球博」のプレビューという位置づけを与えられている。その点でも環境分野に力点が置かれるのは間違いないだろう。
環境と安全。20世紀から今も引きずる2つのネガティブを解決しなければクルマに未来はない。情報通信技術でクルマと交通システムの効率化を図るITSは、クルマの未来を切り開くのか。そして、情報によって新たな利便性や快適性をドライバーに提供できるのか。
ITS世界会議名古屋の市民参加プログラムによって、一般ユーザーも「クルマの未来」に触れられそうだ。