大阪府警は5日、大阪市内で職務質問しようとした警察官をひき逃げし、死亡させたとして殺人と公務執行妨害の容疑で逮捕された44歳の指定暴力団組員の男の尿から覚せい剤の成分を検出したことを明らかにした。
車内から覚せい剤の入った袋も見つかっており、警察では事件当時にも覚せい剤を使用していた可能性が高いとみて、引き続き調べを進めている。
問題の事件は今月3日の未明に発生している。同日の午前3時20分ごろ、大阪市北区堂島1丁目付近で信号無視を行ったクルマを天満署・地域課のパトカーが発見。乗っていた50歳の巡査長が職務質問するために近づいた。
クルマは逃走しようとパトカーに体当たりを繰り返し、巡査長はこれを制止するために警棒で乗用車のリアガラスを叩き割るなどしたが、体当たりを続けるクルマに接触して転倒した。
クルマは巡査長の体を底部に巻き込んで急発進したものの、最終的には身動きが取れなくなり、乗っていた2人は徒歩で逃走。巡査長は病院に収容されたが、約3時間30分後に死亡している。
2人組が乗っていたクルマの車内からは覚せい剤とみられる結晶が入ったビニール袋や、拳銃用の実弾4発、特殊警棒や目出し帽など、犯罪への関与をうかがわせる遺留品が多数残されていた。
警察では殺人と公務執行妨害事件と断定し、捜査本部を設けて逃げた2人組の行方を追っていたが、このうちクルマを運転していた指定暴力団の組員とされる44歳の男が出頭。緊急逮捕されている。
男は取り調べの過程で「覚せい剤を持っていたことから、その発覚を恐れて逃げた」と供述。車内に落ちていたビニールに入っているものが覚せい剤であることを認めた。そしてこの男の尿検査を実施したところ、覚せい剤の成分を検出。事故当時にも覚せい剤を使用していた可能性が高くなった。
警察では現在も逃走を続ける20歳代とみられる若い男を捜しているが、この男はバッグを持って逃走していることがすでに判明しており、このバッグの中に大量の覚せい剤や武器類などが入っている可能性が高いとみて、男を厳しく追及し、この男が何者かなどを含め、さらに調べを進めていく方針だ。