今年2月、北海道厚岸町内で、雪の吹きだまりから乗用車を押し出そうとしていた中学校教諭らに大型トレーラーが追突し、2人が死亡した。
この事件で、業務上過失致死傷の罪に問われていた男に対する論告求刑公判が20日、釧路地裁で開かれた。検察側は禁固2年6カ月を求刑している。
問題の事故は今年2月23日の午後3時ごろに発生している。厚岸町太田付近の道道で、近くにある中学校の教師7人が、吹きだまりに突っ込んで身動きの取れなくなった同僚教師のクルマを押し出す作業を行っていたところ、低速で走ってきた大型トレーラーが追突した。
この事故で50歳の男性教頭と35歳の男性教諭がトレーラーの下敷きになり、胸部圧迫などが原因で死亡、立ち往生していた乗用車を所有する32歳の男性教諭など2人が手首や胸の骨を折る重傷、残る3人も軽傷を負っている。
大型トレーラーを運転運転していた34歳の男は業務上過失致死傷の現行犯で逮捕されたが、警察の調べに対しては「地吹雪で視界が全く利かない状態なので、低速で走行していた。しかし、前方に人がいることに気がついたのは衝突する直前だった」と供述していた。
当時の現場付近は猛烈な地吹雪となっており、視界は1−2m程度しかなかったとされる。このため、20日に行われた論告求刑公判で検察側は「視界が失われていることや、危険だと認識していたにも関わらず、大型トレーラーを走行させた過失は重大」として、運転していた男に対して禁固2年6カ月の実刑を求めた。
これに対して弁護側は、「視界が失われる状況だったにも関わらず、道路の通行止めを行わなかった北海道にも責任の一端はある」とし、さらには「会社側も運行停止を指示しなかった」と、あくまでも運転手の責任は低いと主張している。