新型スズキ『アルト』(13日発表・発売)のデザインテーマは「若々しく温かみのあるデザイン」というもの。この「若々しい」という極めて曖昧な定義を、デザイナーはどう解釈したのだろうか。
「バランスの良い“ハコ”を作りたかったので、シンプルな円と直線を組み合わせて構成しました」と語るのはスズキデザイン部の宮澤貴司デザイナー。
ここで言う“ハコ”とは、『ワゴンR』のような文字通りの箱型ではなく、室内のパッケージングをしっかりと構築した上に端正なボディを被せ、キレのいい造形にすることのようだ。
たしかに曲率変化の少ない簡潔な面で構成されたエクステリアはさっぱりとしているが、ホイールアーチの存在感が大きいので安定感も感じられる。「タイヤを覆って、左右を貫く円筒形にすることでワイド感を表現しています」と宮澤デザイナー。
この他にも「シンプルな円と直線」というテーマはエクステリアのあらゆるところで見ることができる。ボンネットからバンパー下端までは同一の円弧に近く、ボンネットの見切り線は一直線。ヘッドライト上下端も、左右に仮想線を通せば一直線に繋がりそうだ。
バックドアとリアバンパーは円弧の二段構え。コンビネーションランプも円弧が左右に少しだけ張り出して立体感とワイド感を演出している。
宮澤デザイナーはランプの張り出しについて、「もっと大きく張り出させる案もあったのですが、そうするとこの部分ばかりが目立ってしまい、ボディ全体のデザインとの調和が取れなかった」と説明する。
シンプルな造形を組み合わせ、全体で調和の取れたバランスにしたことが新型アルトのデザインの最大の特徴と言えそうだ。