昨年の東京モーターショーでは、カーナビに“ネットピープル”と呼ばれるキャラクターを付加し、ユーザーのリクエストに従い、情報の種類を吟味して提供するエージェント機能を持たせる…というモデルが参考出品されていた。
ゼンリンが出品していた「SA・TSU・KI」もそのひとつ。サツキ・メイ・リンという名前のキャラクターに対し、「サツキ、おいしいラーメン屋さんを教えて」などと、ユーザーが音声で指示すると、そのリクエスト内容に近い店をピックアップしてくれるというものだった。
カーナビの機能のひとつであるデータ検索の使い勝手を向上させる一環として開発が進められてきたが、3Dのキャラクターを動かすソフトはかなり重そうで、それを動かしているPCもデスクトップのハイエンドモデルといった感じだった。
このため、ナビ用のソフトとして搭載するには、まだまだ時間が掛かりそうだと思ったのも事実だが、ゼンリンは切り口を変えてITS世界会議に再出品していた。
それが「01 MODEL」というもの。昨年モデルではキャラクターが3Dの全身モデルで、画面を占める割合も大きかったが、01モデルでは2Dのバストアップとなり、画面の1/8程度の割合まで小さくなっている。
また、ぐるなびのデータベースを使い、自然な話し言葉で飲食店の検索ができるようになった。
例えば「ムードのある静かなバー」という項目で検索を依頼した場合、「バー」の中から、「ムード」と「静か」のいずれかが検索語句として登録されている店をピックアップする。抽象的な語句であっても確実に認識することによって、検索でヒットする確率は向上。これによって「かなり使える」という印象を与えるようになった。
そしてこの01モデル、実はPC用ソフトとして市販する計画を持っており、来春の発売を目指して最終的な調整に入っているのだという。
会場説明員は「エージェントの利便性というのは実際に使ってみなくてはわかりませんし、その楽しさも理解できません。このためにPC用として先行発売して、先進的な商品に対して感度の高い層にアピールしていくことにしました。もちろん、一般のお客様だけではなく、カーナビメーカーの開発者の人たちにも使っていただきたい」と説明する。
価格については「ヘッドセットマイクを同梱でも数千円程度を想定している」とされており、かなり戦略的なものになる見込み。前述のぐるなび以外にも、楽天トラベルやJTBパブリッシングなど、ドライブ情報の収集に役立つコンテンツメーカーが参加することも決定している。